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戦争論 岩波新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 1999/09/20 |
JAN | 9784004306320 |
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商品レビュー
3.4
16件のお客様レビュー
今尚世界各地では戦争や内戦、ジェノサイドが行われている。日々ニュース映像で見るウクライナとロシアの戦闘。ロシアが放ったミサイルがキーウのビルを破壊し、映像に映りきらずともそこには無辜の市民の死が存在する。新疆ウイグル自治区で何が行われているか、中国政府は明らかにはしない。アフリカ...
今尚世界各地では戦争や内戦、ジェノサイドが行われている。日々ニュース映像で見るウクライナとロシアの戦闘。ロシアが放ったミサイルがキーウのビルを破壊し、映像に映りきらずともそこには無辜の市民の死が存在する。新疆ウイグル自治区で何が行われているか、中国政府は明らかにはしない。アフリカの各地で行われている内戦は、外交官の脱出など日本国民の安全には興味があるが、現地で亡くなる兵士たちを我々は見向きもしない。アフリカは日本から遠い地であり関心が向かないのであろうが、世界の経済は極端なグローバリズムで接続されており、いずれは遠い地から影響が津波の様に押し寄せてくる。人々は小さな波では気付かないが、気になった時には足がうまく動かせないほど影響力を感じる。エネルギー価格にせよ食料品の価格にせよ、身近で物価上昇している理由を早い段階で紛争に求めるのは難しい。 歴史を見れば、日本も明治維新以降の富国強兵政策によって、政治や制度が確立しない中での徴兵制が先んじて成立し、未熟なままに各国との戦闘状態に陥っていく。緒戦の勝利は国民を熱狂させ、いつしか戦争によって獲得できる目的よりも、戦争をする事自体が、自分たちの国の豊かさ強さを証明する手段かつ目的とイコールになってしまう。 本書はクラウゼヴィッツが記した「戦争論」が現代に至る、戦争技術の進化、世界経済環境変化、その他様々な要因および外部環境の変化の中で、「政治の延長線上にある戦争」という理解を超えてきた事を考察している。尚、私が本を読んでいる理由の一つに世界から戦争はなくせるか、というテーマがあるが、正にその考察に一致する様な考え方をいくつも得られる内容となっている。 人類という括りでは戦争は見えず、人民・国民という視点に落として初めて見えてくる戦争。ただしそこには人間そのものの凶暴性や、先に述べた様な熱狂とそれに支配される事で集団の心地よさを感じてしまう人間そのものの特性などが影響を及ぼしている。 冷戦構造崩壊後の世界は益々混迷を深めている。核開発技術の拡散は、米ソの世界規模の主義の違和感を超えて、インドパキスタンの様な地域紛争にまで及んでいる。トランプが言った様に「チビのロケットマン」でさえ日本近海に毎日の様にミサイルを飛ばす世の中になってしまった。 本書「戦争論」はかつての戦争とは何か、その要因や定義には存在しなかった新しい時代の「戦争論」を示している。後半ではこの数十年内に発生した(本書自体が1990年代だが)戦争や内戦、虐殺を例に挙げて、その背景にある要因を分析していく。一体何が人々を突き動かしているのか。原因がわからなければ、終わり方は見えない。わたしも同様その答えを考えるのはこうした書籍に触れる事で一人一人が考えることでしかたどり着けない。
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歴史哲学の観点から、20世紀の戦争について論じたもの。「国民国家」とはなにか、という政治的テーマからスタートし、それが軍事力を持ち、いつでも戦争できる態勢にあるのはなぜかを問う。 個々の具体的な事象には触れてはいるものの、基本的には思想史的に「戦争」について抽象的に論じたものなの...
歴史哲学の観点から、20世紀の戦争について論じたもの。「国民国家」とはなにか、という政治的テーマからスタートし、それが軍事力を持ち、いつでも戦争できる態勢にあるのはなぜかを問う。 個々の具体的な事象には触れてはいるものの、基本的には思想史的に「戦争」について抽象的に論じたものなので、好みは分かれるような気はする。とは言え、昨今のウクライナ情勢を考える一助にはなりえると思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
歴史哲学。社会的に論じているのではないので、表現するのが難しいが、本当に人間の心理的な部分に触れたり、読んでいてとても引き込まれた。後半は特にそう強く感じた。著者も終章で書いているが、「この本は自分が世界を生きることに結びついた仕事」とあって感銘を受けた。戦争を経験した世代で、巻き込まれたのだ。計画から完成まで5年掛かっているとあるが、重みを感じる一冊だった。
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