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渡辺保(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 マガジンハウス
発売年月日 2003/03/20
JAN 9784838714025

歌舞伎ナビ

¥2,255

商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

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2013/04/14

ずっと手元に置いておきたい1冊。 写真も多く、写真を見ながら文章を読むと分かり易くて理解が深まりますね。

Posted by ブクログ

2013/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

気合いの入った一冊である。今、この国で歌舞伎を語らせたら、この人の右に出る者はいない。その著者が、「この秘伝は私が五十年あまりもかかって一生懸命に覚えたもので、私にとっては大事なものですから、できることなら他人には教えたくない」とまでいう歌舞伎の見方の秘伝を伝授してくれると、開巻劈頭に宣言しているのだ。これを読まないという手はないではないか。 ではなぜ、それほど大事なものを、披瀝しようというのだろうか。歌舞伎に限らずものを見るには鑑賞眼が必要だというのは誰にでも分かる理屈である。古典劇である歌舞伎を見るにはコツがいる。著者が秘伝と呼ぶそのコツを伝えようと思った理由は二つある。「一つは歌舞伎の見方の秘伝は、基本的には一つしかないと思うようになったからであり、もう一つは、いま、歌舞伎の世界では、その本来の伝統が消えかかっているのではないかと思うから」である。 著者は歌舞伎には二つの見方があるという。一つは人間のドラマとして、今ひとつは、役者の芸を主に見るという見方である。人間のドラマとしての歌舞伎という点については解説を読めば、まあ誰にでも分かる。問題は、一人一人の役者によってそれが演じられるとき、演じ方のちがいによって、人間ドラマが深いものにも浅薄なものにもなるという点である。 歌舞伎は型の演劇である。一つの役柄には決まった髪、衣裳、型、性根というものがある。役者によって、それぞれの工夫のあるところだが、どう演じてもいいというものではない。そこには規範とも言うべき「たった一つのこと」がある、というのが著者が五十有余年もかかって到達した結論である。そのたった一つのことが今日、風前の灯だという。著者の執筆理由はこの危機感にある。 芝居というものは、人間の身体によって成立する芸術である。いわば、演じられる傍から過去となってしまう。過去の名優の芸といっても、写真や映画によって記録されているもの以外は、その芝居を直接見た人の記憶に頼るしかない。しかも、見るためには規範を知っている必要がある。襲名流行りで、一見隆盛を極めているような歌舞伎界だが、それは五代目、九代目は言うに及ばず六代目を直に見た人が、歌舞伎界から消えつつあることを意味してもいる。 芝居小屋仕立てで、一番目狂言の時代物に「寺子屋」「忠臣蔵」「妹背山」。中幕の歌舞伎十八番「助六」「勧進帳」を挟んで、二番目狂言の世話物に「髪結新三」「切られ与三」「弁天小僧」。そして最後、大喜利の所作事「鏡獅子」「娘道成寺」に至るまで、誰でも一度くらいは、見たことがあるという人気演目が並ぶ。著者は二つの視点を用いてそれらを縦横無尽に語り尽くす。 貴重な写真を惜しげもなく使って、懇切丁寧に解説される名優たちの競演はまさに豪華絢爛だが、そこは辛口で知られる著者のこと、返す刀で当世風の演出に注文をつけることも忘れない。「弁天小僧」や「切られ与三」の花道の引っ込みはTVで見ていると、そこばかり映すので、観客も喜ぶところだが、本舞台にいる役者を考え、あっさりやるものという指摘など、なるほど、そういうものかと目から鱗が落ちることも一度や二度のことではない。これから歌舞伎を見てみようかという人にも、愛好家にも必読の一冊と言いたい。

Posted by ブクログ

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