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切岸まで
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 2003/07/15 |
JAN | 9784062119214 |
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切岸まで
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商品レビュー
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大学図書館にあったシリーズその3。裏表紙を開いたところに張ってある返却期限票が真っ白だったので「まさか自分が初めて!?」と思って借りてみた。しかし、ブクログでまさか自分がこの本のレビュー一番乗りになるとは、少し複雑な気分。 既に妻がいる13歳年上の男性、島崎と不倫関係にある...
大学図書館にあったシリーズその3。裏表紙を開いたところに張ってある返却期限票が真っ白だったので「まさか自分が初めて!?」と思って借りてみた。しかし、ブクログでまさか自分がこの本のレビュー一番乗りになるとは、少し複雑な気分。 既に妻がいる13歳年上の男性、島崎と不倫関係にある「私」は、ヨーロッパ旅行中の友人、杏子から『切岸まで』という小説の原稿を受け取る。それは、美和という女性と不倫している遼を夫に持つ、瑤子という女性を主人公に据えた、杏子自身の人生を描いたものであった。 不倫には不倫返し、というのか、不倫された側も寂しさのあまり異性を求めてしまう、という人間の業を静かな淡々とした文章で描いた作品。だが、ささやかな心のよりどころになっている不倫相手(というほど不倫してはいないのだが。ドライブや食事に行く程度)に悩みを打ち明けつつも、未だ持ち続けている夫への愛情のやり場、そして自分ではない他の誰かに目が向けられているという精神的な重圧に苦しみ、自分を失いつつある女性の手記のようにも思えた。読んでて瑤子の夫である遼の行動に思わず苛立ち、瑤子の心情にこちらも寂しい気持ちになってしまった。瑤子が自殺未遂してから自分の過ちと本当の愛に気付く、というのはありがちかもしれないが、最後になんだかやりきれない気持ちになってしまった。 小説の中で小説が語られる、という二重構造だったのは松浦理英子の『裏ヴァージョン』と同じように感じた。「日本人は走ってから考える」と揶揄されるが、人は何か決定的な過ちを犯さないと、真実に気付かない生き物なのだろうか。最近読んだ小説では少し後味が悪かった作品。
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