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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 集英社/ |
発売年月日 | 2003/01/10 |
JAN | 9784087746280 |
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17歳の怜司は何ひとつ不自由しない家庭に育ち成績もそこそこ良い普通の高校生だが、 街で出会った女性に誘われるまま男性相手の風俗のバイトをしている。 ある日新宿で『24時間制ロッカールーム』を見つけた怜司はそこのひとつを契約し、夜のひと時をロッカーに閉じこもって 過ごすようにな...
17歳の怜司は何ひとつ不自由しない家庭に育ち成績もそこそこ良い普通の高校生だが、 街で出会った女性に誘われるまま男性相手の風俗のバイトをしている。 ある日新宿で『24時間制ロッカールーム』を見つけた怜司はそこのひとつを契約し、夜のひと時をロッカーに閉じこもって 過ごすようになっていた。 時折ロッカーの中から出入りする客を観察するのを楽しんでいた彼は、一人の奇妙な客に目を留める。 何をするでもなく、ただ床に座り続ける中年男。何度も見ているうちにその男に強烈なシンパシーを抱いた怜司は、 その男の身元と住所を調べて尋ねていったところ、ひょんなことから男の経営する倉庫で働くことになった。 倉庫で働くパートの女性たちとの関わりの中から、彼は自分の何となくしていたことの愚かさを感じ始める。 …と同時に、自分がロッカーで見ていた顔とまるで違った印象の男に戸惑いを覚えていた。 そんな穏やかな変化を感じる日々の中、怜司がかつて客として接したことがある男が国語教師として 赴任してきたことが彼を違った意味で大きく変えることになる… 世間からあえて自分を遠ざけていた一人の少年がいろいろな出来事によって少しずつ周囲との関わり方を覚え 成長していく過程を描いている話なのです、要するに。ただその出来事が少し普通ではないだけで。 最初の時点での怜司はとにかく無自覚で無関心。 自分を一人息子として愛する両親も「必要ない」と思っている。一般的な考えではかなり覚悟がいるであろうバイトも 「誘われたから引き受けただけ」という感覚。幼なじみのかなり可愛い(と彼も認めている)女の子に 惚れられていて周囲にも付き合っていると認知されているのに、本人はそんなに意識することはない。 後半に出てくるキーパーソンである国語教師の接し方が、教師的義務感→性的興味→愛情→ストーカー寸前→ 自発的奴隷…とまで変わっているのに、そのことの重要性を意識しないまま受け入れて終いには嫌気がさす。 だからこそ、そんな彼がいろいろなことに対して急激に自覚を持ち始める様が印象的です。 自分がロッカーに入っていたことの意味、バイトで当然のように接してきた相手への嫌悪感、そして中年男に対する 執着の正体。 それは怜司が少しずつ世間に近づいて直接触れた結果わかったことだ…という流れがとても美しい。 性的にかなりドロドロした部分も書いているはずなのに、不思議と生々しさを感じさせない怜司の視点が この小説の特質なのです。 同性愛が大きなテーマのひとつなのでちょっと敬遠する方もいるかもしれませんが、別に本番してるわけじゃないし (露骨に書きすぎです、私)そこがメインではないと思うので大っぴらに紹介してみました。 ちなみにこの作品、第26回すばる文学賞受賞作だそうです。 あまり賞に興味のない私ですが、これは「わかるなぁ」と思います。 このコンテンツに紹介する本は、私の中で主に二通りに分類されています。 ひとつは『前から好きで仕方なかった本』。もうひとつは『たまたま読んで強く印象に残った本』です。 この本は後者に当たります。偶然図書館の新刊コーナーにあったのを手にとってみたら何となく惹かれたので借り、 読んでみたら心に焼きつきました。 読み終わったときはそんなに自覚していなかったのですが、その夜見た夢でこの本に類似した内容が出てきた時点で ここに書こうと決めたわけです。(実話) (2003.8.5 UP)
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第26回すばる文学賞受賞作だそうです。 書かれているのは特殊な世界ですが、主人公に共感する部分もありました。 主人公に惹かれるあまり壊れていく教師が恐ろしい・・・ 他人を愛するって、どういうことなんだろう。 考えさせられる作品です。
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1月6日読了 鉄のロッカー。硬質な鉄製の城。 高校時代の感情を突付いてくる。 何の根拠もなくクラスメイトを心の中で見下し、自ら張った壁の中でもがいていた頃。 自分と他者をはっきりと区別しようとした結果、他人とうまく付き合っていけず自分の世界に閉じ篭もった頃。 自分で勝手に作り出し...
1月6日読了 鉄のロッカー。硬質な鉄製の城。 高校時代の感情を突付いてくる。 何の根拠もなくクラスメイトを心の中で見下し、自ら張った壁の中でもがいていた頃。 自分と他者をはっきりと区別しようとした結果、他人とうまく付き合っていけず自分の世界に閉じ篭もった頃。 自分で勝手に作り出した疎外感に地団駄を踏んでいた頃。 今思えばなぜあそこまで頑なに自分設定を守ろうとしていたのかわからないけれど、あの時の石膏の様な気持ちを引掻いてきた。
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