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小説の文体 英米小説への言語学的アプローチ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 研究社/ |
発売年月日 | 2003/01/10 |
JAN | 9784327401344 |
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小説の文体
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とてつもなく刺激的な本だった。何かしらの小説や文章を読んだときに、なんとなくその文が好きであったり、印象に残ったり、この人らしい文章だなと感じたりといったことはよくあるが、そのように感じる仕組みを説明することは難しい。というよりも、その感じを説明するために、何について、どんな問い...
とてつもなく刺激的な本だった。何かしらの小説や文章を読んだときに、なんとなくその文が好きであったり、印象に残ったり、この人らしい文章だなと感じたりといったことはよくあるが、そのように感じる仕組みを説明することは難しい。というよりも、その感じを説明するために、何について、どんな問いを立てたらいいのかが、いまいちわからなかった。 この本では、読者が文章に対して感じる印象について、そうした印象を生む文体を説明しようとしている。何よりも、これまで言語学や言語哲学で研究が進んできた概念や理論を小説の文体を分析するためのものとして厳密化する。厳密化された概念・理論群は、自分がこれから小説を読むときに、「文体について説明すること」をできるようにしてくれる。同じような本が日本語についても出てくれないかと切実に思う。 第5章の「談話と談話状況」の結びがとても印象的に記憶に残っている。 小説作品を、作者と読者の間で交わされる談話として検討してきたところ、文体研究の領域を超える境界に辿りついた。(p198) 付章を読むと、あくまで「文体」を分析の対象とする限りにおいては、上の引用のように「(含意された)作者」と「(含意された)読者」の概念を立ててその「間で交わされる談話として」分析する必要はないようである。ただ、そういった理論的な厳密さ以前に、文体=どのように書かれているかを分析することが、「文体研究の領域を超える境界」に至るということだと思う。 作者と読者の間で交わされる談話としてみるということは、すなわち作者がどういった選択をしたのか、読者がそれをどのように受け取るのかを分析することで、それは、もはや文体の分析ではなくて、ある種の作家論や読者論の問いに移行していくことになる。テクストに書かれた文体にこだわることが、他の文学的な問いを生み、かつその問いに答える材料になることは、とても意味のあることだと思う。 あくまで言葉に表現のされ方にこだわることが、文学を説明する力になる。こういった研究は、特に文章それ自体と向き合う以外のことをしない、多くの一般の人たちにとって大切な能力なのではないかと思う。そういった意味で、ここでなされる文体の分析は、とても教育的なものだと感じる一冊だった。
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