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シルトの岸辺 ちくま文庫
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シルトの岸辺 ちくま文庫

ジュリアン・グラック(著者), 安藤元雄(訳者)

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シルトの岸辺 ちくま文庫

定価 ¥1,540

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房/
発売年月日 2003/10/08
JAN 9784480038777

シルトの岸辺

¥605

商品レビュー

3.8

5件のお客様レビュー

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2020/02/12

やっぱりこの小説はシュールレアリズム文学のようだ ファンタジー文学でもないし このごろは文学のジャンルが錯綜しているのだからなんでもあり ゴシックロマン風なこの物語を文学の文学として楽しんだ さてストーリー 時代は不明、ヴェネツィアみたいな風景の架空都市オルセンナ 家柄...

やっぱりこの小説はシュールレアリズム文学のようだ ファンタジー文学でもないし このごろは文学のジャンルが錯綜しているのだからなんでもあり ゴシックロマン風なこの物語を文学の文学として楽しんだ さてストーリー 時代は不明、ヴェネツィアみたいな風景の架空都市オルセンナ 家柄の良い青年が放蕩らしきものに飽き、辺境の砦に職を得てみる そこは対岸が300年のもわたって戦争状態にある岸辺の城砦 けど、お互いに一歩を踏みださない休戦状態が300年 300年も平和なのだから死んだように静かな海辺 そこへ都市政治を牛耳っている上層部のスパイなるものか 観察将校として派遣されたのだ 勤めている兵士たちは仕事と言えば農家に派遣されて 牧畜、農業のアルバイトで賃金を得ている皮肉な状態 しかし、都市では権謀術数、暗躍の果て、戦争は恰好の話題 青年は都会に住む元恋人にそそのかされて その平和で無風地帯に煙を立てるような役目を担ってしまう 何か(戦争)が起こりそうな緊張で物語は終わっている これが書か1950年代だけれども 今の時代にもあてはめられる戦争の足音が いつでもどこでも争いが いつのときもあるという人間世界のサガ 寓意というにしてはちょっとリアルかなと思う 倉橋由美子さんの『偏愛文学館』に好きな文学と紹介してあり 興味を持って読んだ次第

Posted by ブクログ

2014/01/15

タイトルのシルトは物語の主な舞台となる架空の土地の名だが、 syrteとは地中海に面したアフリカ北岸の流砂の意だという。 これは淀んだ泥海に首まで浸かって惰眠を貪った国家の、 破滅への序曲――といったストーリー。 シルト海を隔てて300年間睨み合ったまま、 休戦したわけでもなく...

タイトルのシルトは物語の主な舞台となる架空の土地の名だが、 syrteとは地中海に面したアフリカ北岸の流砂の意だという。 これは淀んだ泥海に首まで浸かって惰眠を貪った国家の、 破滅への序曲――といったストーリー。 シルト海を隔てて300年間睨み合ったまま、 休戦したわけでもなく膠着状態に陥った二国、オルセンナとファルゲスタン。 オルセンナの旧家の一員、高等遊民の一種である青年アルドーは、 監察将校(軍人らを監視する文官)としてシルト軍港へ赴き、 保養地に別荘を持つ恋人と再会して焼け木杭に火が点くのだが、 某か遠い存在を見透かすような彼女の目線や意味深な発言が気にかかる。 そして、暇を持て余した血気盛んな若者たちは、 軍港のボスである大佐の不在中に無謀な行動に出てしまい……。 といった筋書きが、極めて繊細で美しい文章で綴られていく。 初めは緩やかに、そして徐々に加速して――。 コップには予め満々と水が湛えられており、 あと一滴、二滴、誰かのちょっとした匙加減で張力がもたなくなって、 わっと溢れ出してしまう、そんなお膳立てが整っていて、 その「仕上げ」に手を貸してはいけないと重々承知していながら、 誘惑に逆らえない人物の姿・心理が緊張感たっぷりに描かれている。 では、彼を唆したのは何かといえば、 視える者には最初から視えていた、一国の宿命そのもの、 ということになるだろうか。 事はすべて起こるべくして起こったのだし、 それを恐らく承知で読み進めた読者もまた共犯に違いないのだ。

Posted by ブクログ

2011/05/26

大学生のころに図書館で借りて読んだ本ですでにだいぶ経ってしまっているのですが、とても印象深い本です。 著者の情景描写が巧みで、まるで本当にそこにいってみてきたような、鮮明な風景を思い浮かべることができるほど。 話のあらすじは、既に戦争状態に入り300年以上も海を挟んでにらみ合...

大学生のころに図書館で借りて読んだ本ですでにだいぶ経ってしまっているのですが、とても印象深い本です。 著者の情景描写が巧みで、まるで本当にそこにいってみてきたような、鮮明な風景を思い浮かべることができるほど。 話のあらすじは、既に戦争状態に入り300年以上も海を挟んでにらみ合いが続いているシルト地方に、失恋で都会を離れた貴族の主人公が監察将校として赴任してきて……というもの。 主人公の赴任が契機でその膠着状態が動き出すことになるのですが、霧のようにあくまで緩慢に動いていきます。 それを冗長と感じるか、楽しめるかは読者次第だと思いますが、個人的には話自体を楽しむよりも、著者の表現を楽しむ本だと思います。

Posted by ブクログ

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