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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | マガジンハウス/ |
発売年月日 | 2003/11/20 |
JAN | 9784838714582 |
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商品レビュー
4
8件のお客様レビュー
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”内臓を引きずり出されるようなことはなかったけれど、その夜、僕は彼女によって確実に何かを引きづり出された。 それがいったい何だったのか。それはいまだに整理がついていない。けれど、その瞬間に味わった、何かが違うという確かな感触。 僕と由利にしたって、きっとお互いを深く傷つけ合ったりすることのないように、ガラス玉を真ん中に置いて付き合っていたのかもしれない。でも、それは何か違うのだという感覚。人間と人間がつながるということは、ときとしてものすごく動物的なことなのだという、理屈ではないとても皮膚的な感触。 その本質を理解した瞬間に、僕は由利との注意深い付き合い方に何らかの違和感を感じてしまったのかもしれない。 人間と人間の間に突然生じる、何らかの違和感。ヌルヌルの石鹸を触ってしまったときのような、本質的な恐怖感。” ”久美子、もし君も僕もロックンロールという同じ小石をポケットに入れて生きているんだったら、それで十分だ。それ以上、人を傷つける必要なんて何もない。” 大好きな大崎さんの本。 タイトルからの匂い通り 今までの大崎ブルーとは少し違い 武骨なタイトル ユニークさ、 今までにはないような等身大に近い主人公。 ダメな部分をそのままだらしなく書き出してくれている。 ほんとにね、小説でこんなに笑いをこらえるの辛かったの初めて。 「このうんこたれ!」 この言葉で人の戦意は喪失するんだって(笑) そりゃ好きだった女の子にそんなこと言われたら へなへな萎んでっちゃうよね。 本の中で女性は時折感情的な衝突を望み、 臨戦態勢に入り、そのバス停で待ち受けているという いわゆる女性のヒステリーさにうんざりしているように書かれているけれど、 社会に馴染めず押しつぶされ、 ノシイカのように 自分なりにそれを真に受けずひらひらと ゆるくどこか冷たくかわす生き方を身に着けた主人公のような 男性は結構多くて、 こっちこそそれにうんざりなのだ。 どちらも完全に一致することなんてないのにね。 バス停でノシイカ待ち構えてもしょうがないって事か。 とにかく今回も大崎さんの選ぶ言葉の一つ一つは 言葉としてとてもきれいで 文章の流れも心地よかった。
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小説を書かなければいけない。 熱帯魚専門誌の編集をしていたが、小説を書いてみないかといわれ、 デビュー作で新人賞をとった、40歳の独身男、植村吾郎。 それから2年が経ち、二作目を書くために、パリへ行った。 編集者の高井、久美子 流れるように生きていくなかで何度も恋愛をし、友情を知り吸収したそれは想像の世界にも無限に広がっていく。 ひゃー! 恋愛の話なのか? 植村と久美子が、別れた恋人と死んだ兄の共通点を知りそうになったのは関係あるの? 山本伊沙子と西田京子はいったいなに? このうんこたれ野郎、とか、ときどき出てくるお茶目が読んでておもしろかった)^o^(
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「パイロット・フィッシュ」や「アジアンタム・ブルー」の大崎善生による、ロックと恋とセックスと文学をモチーフとした、非常に私好みの作品。 端正でシリアスな文章を書く人だ、というイメージが強かったのだけど、この作品での文体はとっても軽妙かつユーモラス。描写対象への強い客観性は、あい...
「パイロット・フィッシュ」や「アジアンタム・ブルー」の大崎善生による、ロックと恋とセックスと文学をモチーフとした、非常に私好みの作品。 端正でシリアスな文章を書く人だ、というイメージが強かったのだけど、この作品での文体はとっても軽妙かつユーモラス。描写対象への強い客観性は、あいかわらずちょっと村上春樹っぽいけれど…。 熱帯魚雑誌の編集者から作家に転じた中年男性の主人公。見事に文芸賞をとってデビューしたのはよいけれど、2作目がなかなか書けない。そこでパリのポートオルレアンにでかけ、ホテルにカンヅメになって日がな一日執筆に励むことに。そこになぜか突然次々と現れる担当編集者の高井、その彼女でライバル出版社編集者の久美子、そして久美子の元カレの鏑木。この3角関係(?)に絡めとられた主人公はいつの間にか久美子と恋に落ちてしまう。ところが彼女は主人公の元彼女と不思議なつながりがあった…、という、とてもとてもややこしいストーリー。 全体を通じたペーソスと按配のいい切なさ加減がとてもよかったです。主人公の優柔不断さにも、えらく共感できたし…。 あちこちに引用されるロックンロールの名曲も、いい感じ。ツェッペリンの「天国への階段」、ジェフベックの「哀しみの恋人たち」、ジョージハリスンの「オール・シングス・マスト・パス」…。 たとえば主人公が始めて久美子と二人きりになったタクシーの中でジェフベックが流れ、久美子が「私この曲知ってる」と言い、そこでこの20歳ほども年の離れたカップルは一挙に距離を縮めるわけです。そういうときのスリリングさって、ありますよね。恋に落ち、おぼれ、別れ、そしてまためぐり合う。振り向けばいつもそこに、ロックンロールが流れていた…。 いつかはそういう小説を書いてみたいな、と最近思います。「小説を書く」ということについて主人公が作中で編集者に語っている箇所があって、なるほどな、と思ったのですが、「たとえば何でもいいや、パリのこのカフェに夕陽があたってるというシーンがあったとして…」それを文章で表すとすると、幾通りもの表現があるわけですよね。小説を書く、っていうのはその中から最もしっくり来る、一番適切な表現をこつこつと選びながら、10枚、20枚と書き進めていく、ことだそうです。ひとつひとつ、こつこつと。最終的に、小説は出来上がらないかも知れない。ストーリーはエンディングを迎えないかも知れない。全ての努力は報われないかも知れない。それでも、小説を書くということは、そうやってひとつひとつ、こつこつと、ぴったりくる表現を重ねていくしかないんだ…。 確かにしんどい仕事ですね。でもそうやって出来てきた100枚、200枚の原稿は、まさに言葉の真ん中の意味で「作品」と言えるのかも知れない。そんなことを考えました。
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