草にすわる

白石一文(著者)

• 内容紹介: 内容:草にすわる. 砂の城
• 販売会社／発売会社: 光文社/
• 発売年月日: 2003/08/20
• JAN: 9784334924010

商品レビュー

2021/01/31

子供の頃よく食べたお菓子が今も店頭に並んでいるのを見て、こんなの喜んで食べてたなぁと半ばバカにして、数十年ぶりに買って食べてみたら、えらく進化していておいしくて驚いたことがある。主人公洪治が読んだ早逝の詩人の詩の一説が「草にすわる」。私は、自然の中にいる一個の自分に立 ち返ると、これまでの悪いところがわかるという意味だと取った。主人公もその恋人曜子も三十歳そこそこで満身創痍である。簡潔にいえば二人の再生の物語だが、洪治が進化する経過が劇的な短い小説になっている。虫けらのような、ダメな自分に気づいて、座った草地から立ち上がる。
「心中未遂ですってさ。仕事もしてなかったみたいだし。ご両親お気の毒ね。」そんな噂話が聞こえる。二人の進化は外界には気づかれない。濃い、いい小説でした。

2014/06/04

主人公が、自分の欲に気づき、これからは働くために生きると決意したところが、人間ぽくて、とても良かった。そう、人はなかなか簡単には死ねないのよね。

2012/04/24

本屋さんで、帯の文に気になって購入したはず。
でも、その時求めていたものとは全く違い、重たく読みにくい印象しか受けず、何で買っちゃったかな…と後悔した。
自分が求めていたものや、その時思ったことはもうすっかり忘れてしまったけど、再読してみるとそれほどイヤなものではなかった。