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ワイルド・ソウル
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 幻冬舎/ |
発売年月日 | 2003/08/25 |
JAN | 9784344003736 |
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商品レビュー
4.4
93件のお客様レビュー
1961年11月、1万トンの新造移民船「サンパウロ丸」が、神戸港からブラジルに向けて出港した。 日本政府の移民政策に応募した家族と彼らの夢を乗せて。しかしブラジルの入植地に入って、彼らの夢は砕かれた。 そこは想像を絶する地獄のような土地だった。 結婚したばかりの妻と弟の3人で移住...
1961年11月、1万トンの新造移民船「サンパウロ丸」が、神戸港からブラジルに向けて出港した。 日本政府の移民政策に応募した家族と彼らの夢を乗せて。しかしブラジルの入植地に入って、彼らの夢は砕かれた。 そこは想像を絶する地獄のような土地だった。 結婚したばかりの妻と弟の3人で移住してきた衛藤一家らは、逃げ場の無いジャングルの中で、獣に等しい生活を強いられた。 ある者は病に倒れ、ある者は逃げ出して行った。 妻と弟を失った衛藤は、数家族を残して入植地を捨てた。 そして40数年後、日本政府への復讐を胸に、3人の男が東京に集まった----------。 1961年と言うと東京オリンピックの頃ですよね。 当時、こんなデタラメな移民政策なんて本当にあったんでしょうか。 なにしろ国家による国民に対する詐欺ですよね。 この作品では、その事をどうこう言っている訳ではなく、移住者とその二世達の、日本政府及び外務省に対する復讐劇です。 苦難の末に仲買商として成功を収めた衛藤を黒幕として、衛藤と砂金取りをしていた山本、そして衛藤と一緒に入植した家族の子供の松尾とケイ。 彼らは外務省の建物への襲撃、そして当時の責任者の誘拐へ、新聞記者の貴子を巻き込んで、圧倒的な迫力で進んで行きます。 とにかくテンポはいいし、細かい描写も丁寧だし、登場人物も多彩だし、話の進め方も上手いです。 かなり長い作品なんですが、一気に読めてしまいました。 デビュー作の「午前三時のルースター」では、経済成長に向かうベトナムが活き活きと描かれていました。 この作品ではブラジルでの描写がいいですね。 前半の移住者達の苦難をこれ以上書いてしまうと少々くどくなるんでしょうが、二世の松尾とケイが復讐に向かう心情をもう少し書いて欲しい気がしました。
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移民問題をテーマとした今作。家族を生き地獄へと追いやった当時の外務省の役人、ひいては日本国への復讐を果たすべくとある計画を企てる。 日系人ブラジル人ケイの陽気さと色情狂ぶり、かと思えばなんとも思わず悪事に手を染めるギャップが良かったですね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
復讐という形で己の人生に区切りをつけようとする男たちの話。 良かった点 ・ケイのキャラクター 他キャラもそれぞれに人生を描写されてるけど、この本はやっぱりケイの物語だと思う。厳しい生い立ちと激しい性格が絡み合ってできた、なかなか複雑で類を見ない強烈な個性。身近にこんな男がいたら「絶対に怒らせたらアカン」かつ「出方が分からなくてヤバイ」リスト上位入り間違いなく、松尾みたいに振り回されて大変そう~と思うものの、危険で先が読めなくてやると決めたら突き進む姿に目が離せなくなるよねこんなん。 ・移民政策への復讐 個人への復讐譚なら巷にたくさんあるけど、移民政策への復讐なんてどうするのか皆目分からない。物騒な仕掛けと端々の台詞から、ケイたちの下準備が国や省への復讐にどうつながるのか、ちょっとづつ明かされる筋立てが良かった。 あと人質の妻が想起した「想像力の欠如こそが真の悪」っていうのも多分変わっていない。40年前の悪夢として切り捨てればいい話じゃなく、きっと条件が揃えば繰り返される話なんだろうというのも耳が痛かった。 ・エピローグ エピなくてもきれいに終わってたと思う。でもこの章があった方がうんと希望が広がる気がする。好きな相手のためには労を惜しまぬ人なんで、たぶん手紙にあった「ちゅうせいをちかう」は信じてもいいんだろうなーと。 まぁ不逮捕特権まで非母国語で説明できるくせに何で書く方はほぼはひらがななんだとか、またあいたいとか呼びつけたくせに自分の都合ばっか得意げに押し付けちゃうのは悪手だろうとか、ツッコミたいことは色々あるけど、こうやってケンカしながら楽しく暮らせる相手が見つかってよかったし、最後の最後でキキョウがもっかい効いてくるのがおおーっと思った。 よくなかった点 気になったのが言葉遣いの古さ。復讐の舞台は2003年あたりの東京のはずなので、何か昭和っぽさに違和感を覚える。本国離れて長い日系人の日本語が古いのも、貴子が田舎者出なのも分かるけど、興醒めするんでもうちょっと単語は校正してほしかったなと。 総評 1章半ばまでの江藤の苦難と放浪が辛くて、これ最後まで読めるかなと心配になったけど、2章になってからノンストップでガンガン読めた。エロ描写も濃いけど、馴染みのない南米気質と自分をごまかさない正直さに繋がってるので必要というか、ここを抜くとスカスカになる気がする。今(2023年)から20年くらい前の小説だけど面白かった。 あと最初何だか分からない装丁の表紙が、読み終わると貴子目線の高速道路なのかなーと分かるようになるのなかなか演出だなーと。
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