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妖説太閤記(上) 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2003/11/15 |
JAN | 9784062738958 |
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妖説太閤記(上)
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商品レビュー
4.5
13件のお客様レビュー
著者としてはオーソド…
著者としてはオーソドックスな類に入る時代小説。しかし、一般的な時代小説とは次元が違う。己の欲望のままに出世街道を突き進む男として秀吉は書かれる。明智光秀もその犠牲となってしまう。
文庫OFF
2021年7月25日読了。「猿」と呼ばれ、女性に縁がない貧しい野武士生活を送っていた藤吉郎は、己の才覚と軍師たちの謀略を用い織田家の中で出世し始めるが…。山田風太郎解釈による太閤記。他の作品に比べるとエログロ・忍法要素は少ないがそれゆえに史実に沿っていて、自分がよく知っている話で...
2021年7月25日読了。「猿」と呼ばれ、女性に縁がない貧しい野武士生活を送っていた藤吉郎は、己の才覚と軍師たちの謀略を用い織田家の中で出世し始めるが…。山田風太郎解釈による太閤記。他の作品に比べるとエログロ・忍法要素は少ないがそれゆえに史実に沿っていて、自分がよく知っている話でもあり非常に頭に入ってきやすい。超常的な武術を持たない代わりに、歪んだ嗜好・狂気を持つ秀吉像と彼を見込む半兵衛・官兵衛の暗躍ぶりや、登場人物たちの重々しい言葉遣いなどが読み応えがある。清州会議までがこの上巻、下巻は戦争要素が少なくなると思うが、家康配下の伊賀忍者と秀吉陣との争いという展開になるのか?続きが楽しみ。
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草履取りから天下人へ・・・ 日本史上最大の成り上がり者・・・ 豊臣秀吉・・・ 日本の英雄の1人・・・ 天下を取るまでの政略、外交、軍事の天才的な冴え・・・ 恐ろしいほどの強運の持ち主・・・ お調子者で陽気で人から好かれ・・・ 武将だけども人を殺すのが嫌い・・・ 多くの人を取り込む...
草履取りから天下人へ・・・ 日本史上最大の成り上がり者・・・ 豊臣秀吉・・・ 日本の英雄の1人・・・ 天下を取るまでの政略、外交、軍事の天才的な冴え・・・ 恐ろしいほどの強運の持ち主・・・ お調子者で陽気で人から好かれ・・・ 武将だけども人を殺すのが嫌い・・・ 多くの人を取り込む人たらし・・・ 大体の秀吉モノ(太閤記モノ)はこの秀吉の陽性にクローズアップ・・・ 日本人が好きな秀吉モノはこっち・・・ 天下を取ってからの転落していく秀吉の暗部にはあまり触れない・・・ 落差がありすぎて酷すぎるから・・・ まるで別人かと思うくらいの変貌を遂げるので・・・ 秀吉好きな人も引いちゃうくらいなので・・・ 大体は触られない・・・ そして、秀吉の暗黒面が出てくるのは天下を取ってから、とする・・・ しかし・・・ この・・・ 山田風太郎の・・・ 妖説太閤記は・・・ 一味違う・・・ 秀吉の暗部に、秀吉の闇にこそクローズアップ・・・ そもそも秀吉が成り上がっていったのは・・・ そう天下を取ることを目指したのは・・・ 信長の妹であり戦国一とも謳われる美女のお市の方を手に入れるため・・・ もっと言うとお市を抱くために己をすべてを振り絞って戦国の世を駆け上がっていく、とする・・・ それは・・・ 秀吉が・・・ その怪異な、醜い容貌のせいで・・・ 女というものに・・・ まったく愛されないことからくるハイパーなコンプレックスから生まれ出た暗闇の情念から来ている・・・ この暗闇の情念が秀吉の才覚と絡み合って・・・ 信長の下、頭角を現し・・・ そして、本能寺の変を引き起こす・・・ 遠まわしに、決して悟られぬよう、ジワジワと明智光秀を追い込んで、自らの手は汚さずに、明智の手でもって主君、信長を討ち滅ぼす・・・ お市を手に入れるために・・・ 邪魔な信長を消す・・・ ということで山田風太郎は秀吉黒幕説ですね・・・ 好みの女を抱く・・・ 好きなように抱く・・・ 己の欲望をかなえるために、そのためだけに天下を取る・・・ 天下を取ってからは欲望の歯止めが利かなくなる・・・ 女を抱きまくるわ・・・ 何万?何十万?の人に負担を強いて大建造物作りまくるわ・・・ 大増税するわ・・・ 大殺戮するわ・・・ 無謀で無意味な海外遠征するわ・・・ あとのことなど知ったことか、と言わんばかりに、あらんかぎりの悪や愉しみをし尽くす・・・ そして枯れ果てていく・・・ 妖説、とあるけど、非常に生生しくリアルな雰囲気を醸し出してる・・・ これぞ本当なんじゃない?と思わせてくれる山田風太郎の筆の凄みたるや・・・ 感服です・・・ とても面白かった・・・ この妖説、上下巻・・・ 上巻は秀吉の闇を見つつも、彼の才気の冴えをビンビン感じながら読める・・・ 下巻は秀吉の闇しか見えない・・・ 彼の欲望にまみれた姿と、孤独な姿と、彼に翻弄される人々の苦しみしか見えない・・・ 特に最後の方はヤバイ・・・ 死の臭いが漂ってくるくらいの酷さ・・・ 巻末エッセイにもまさに書いてあるけど・・・ 太閤殿下よ、早く死んでくれと・・・ 主人公の死を願わずにおけないほどの衰えと哀れさ・・・ 死んでホッとする、というね・・・ 天下人の心の闇、孤独さ、哀れさがこれほど詰まった秀吉モノはない・・・ 最後に・・・ 文中で後に豊臣から天下を簒奪する徳川家康が感嘆しながら心の中で呟くのだけど・・・ ワタクシ、昔からこういう点において秀吉スゲー!と思って好きだったので、以下引用・・・ 実に、やりたいことをやってのけた、あの男は。 天下制覇、大遠征のみならず、殺戮も、肉欲も、あらんかぎりの悪と権謀の愉しみも。 死ぬときのみれん、もがきようさえも、恥も外聞もない、ありったけの人間相をみせたではないか。 わしはああはできぬ。 しかし、生きるとは、あれがほんとうではないか。他をかえりみず、やりたい放題にやってのける。 それが人間が生きぬき、生きつくすということではないか? あれほどの男は、前代未聞であったし、また未来にも一人もこの日本に現われてくることはあるまい。 と、ある・・・ 絶対に統治してほしくない独裁者だけど・・・ やはり秀吉が好きだね・・・
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