天皇陵伝説

八木荘司(著者)

• 販売会社／発売会社: 角川書店/
• 発売年月日: 2003/01/05
• JAN: 9784048734295

商品レビュー

2012/01/29

ブログ「袖ケ浦在住非破壊検査屋」2012/1/29の投稿
（「天皇陵伝説」、　娯楽小説はこれでいいのだ http://niwatadumi.at.webry.info/201201/article_9.html　）

もう10年近く前の著作になる、八木荘司さんの「天皇陵伝説を読み終えました。仁徳天皇陵から出土したとされる、日本史を覆すことにもなろうかというお宝をめぐっての伝奇ミステリー。

奈良平安文化圏を探訪したことがほとんどない僕は、巨大な前方後円墳をはじめとする天皇陵を見たことはありません。しかし小説を読めばその壮大さが想像できます。できますが、その壮大さに比べたら登場人物は最小限であり、世界観は火曜サスペンス的です。

けれど、面白い。もしも天皇陵からこういう歴史的資料が出土したらどうなるのか、という発想がすべての作品かも知れませんが、歴史的事実の解説もあり、古代への想いをはせるにはいいきっかけになりそうです。

高橋克彦の伝奇モノが好きならば、違和感のないストーリー。諸星大二郎さんの漫画「妖怪ハンター」も思い出しました。それらに比べれば現実的・庶民（？）的な舞台設定ではあるけれど、古代史に造詣の深い作者のストーリーテラーとしての才能も認めざるを得ません（褒めすぎか？）。

話の流れに強引なところもありますが、娯楽小説はこれでいいのだ。無理が通れば道理がひっこむのだ。