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海軍の選択 再考 真珠湾への道 中公叢書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2002/12/20 |
JAN | 9784120033049 |
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商品レビュー
4.7
3件のお客様レビュー
海軍の北守南進論に基づいた論考。 米内光政のやったことって二重人格なんじゃないかと思わされることもあるが、本書のストーリーはストンと落ちる
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これまでの海軍善玉論に一石を投じる良書。旧日本海軍のワシントン体制に対する反発から、対中強硬への転換、北守南進論に基づく政策の変遷等、丁寧に語られている。 本書で特に目を引くのは、建艦競争に至れば軍縮条約よりも艦艇総トン数の格差が拡大すると自ら見込みながらも、1930年代以降、対英米路線に突き進む海軍の矛盾である。 また、日独伊三国同盟についても親ソに伴う北進が無くなった=南進のための同盟と位置付けと見るや賛成に回るところなどは、いかにも省益第一の官僚主義であり、英米協調の海軍という従来の見方は一掃されるべきだろう。 さらに言えば、陸軍の北進を退けて、海軍の南進という方針の下で太平洋戦争が始まり、その惨憺たる敗北の過半を負うべき海軍の善玉論がまかり通る現状は極めて不可解だ。
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私は山本五十六と同郷である。さらに、彼は私の高校の大先輩ということになる。学校には彼が地球儀の傍らで作戦を練っている姿を描いた肖像画がデカデカと掛けてあった。また我が家の近所には、山本の墓もある。いずれにせよ、私の町では山本五十六は偉大な人なのである。 花火・米百俵・五十六、...
私は山本五十六と同郷である。さらに、彼は私の高校の大先輩ということになる。学校には彼が地球儀の傍らで作戦を練っている姿を描いた肖像画がデカデカと掛けてあった。また我が家の近所には、山本の墓もある。いずれにせよ、私の町では山本五十六は偉大な人なのである。 花火・米百俵・五十六、そして柿の種。ちょっと通だと『峠』である。私のふるさとはそういうところだ。 それはさておき、山本は真の平和主義者であったにもかかわらず、「一年半くらいなら暴れて見せましょう」と職務上やむなく真珠湾攻撃に向かった。阿川弘之らによって神話化されたこのイメージ。昨今、工藤美代子『海燃ゆ―山本五十六の生涯』も刊行されたそうだが、神話化されたイメージをどれだけ塗り替えられるのか?読んでいないので深入りはしないが。 本書を読むと、そういうイメージは払拭される。山本と米内光政・井上成美のトリオが、米英協調から日独伊三国同盟に反対したという「通説」に著者は再考を迫る。海軍の伝統である「北守南進」、ひいては対ソ提携の立場から、反ソ的な陸軍主導の三国同盟に反対したのではないか。日独海軍の間には、技術面を中心とした強い結びつきがあり、対独提携自体に否定的だったわけではない。 本書を読み進めるほどに、海軍=英米協調というイメージが揺らいでいく。 陸軍は好戦的で、海軍は協調的だった。真面目な歴史書であっても、その影を引きずっている本がまだ多い。海軍史研究が陸軍のそれに比べて遅れているということだろうが、海軍という機構も政治主体の一つとして、敗戦へと雪崩れ込んでいく、あの当時の歴史に積極的に関わっていたことは無視できないことであり、本書はそのことを痛感させる。 著者の相澤氏は防衛庁防衛研究所戦史部主任研究官。防衛庁の人がここまで書いても大丈夫なのか、とちょっと余計な心配をしてしまうくらいに刺激的な論考だ。
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