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進化の隣人 ヒトとチンパンジー 岩波新書
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進化の隣人 ヒトとチンパンジー 岩波新書

松沢哲郎(著者)

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進化の隣人 ヒトとチンパンジー 岩波新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店/
発売年月日 2002/12/20
JAN 9784004308195

進化の隣人 ヒトとチンパンジー

¥79

商品レビュー

4

8件のお客様レビュー

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2017/01/04
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※このレビューにはネタバレを含みます

2002年刊行。京都大学霊長類研究所の天才チンパンジー「アイ」、その子「アユム」の観察記録とその解釈を記した一書。アイ関連の書はいくつかあるが、アイの子育てという新奇なテーマを扱っている点、アユムの成長を見ている点、簡明な新書という点で一読する価値は高い。ヒトへの進化を考える意味でも良書である。

Posted by ブクログ

2016/01/12

言葉を理解するチンパンジーのアイとアユムを育て、研究してきた著者が、チンパンジーとヒトの「近さ」を、分かりやすく解説している本です。 言語の習得や鏡を使った自己認識、あるいは誤信念課題など、認知的な側面におけるチンパンジーの知能について、とくに詳しく紹介されています。また、「「...

言葉を理解するチンパンジーのアイとアユムを育て、研究してきた著者が、チンパンジーとヒトの「近さ」を、分かりやすく解説している本です。 言語の習得や鏡を使った自己認識、あるいは誤信念課題など、認知的な側面におけるチンパンジーの知能について、とくに詳しく紹介されています。また、「「素朴な信念」から「科学的理解」へ」という枠組みの中でではありますが、人間と他の動物との差異を改めて考えなおしてみることの大切さを、読者に問いかけています。

Posted by ブクログ

2015/08/15

本書はNHKの人間講座がもとになっている。番組を見ると松沢さんのすごさが分かる。チンパンジーのことばをあやつることができるのだ。まじめな顔をして、「オッオッオッ」とか「フーホーフーホー」などと言っているのを見ると、ついニヤッと笑ってしまう。本書ではいくつもの実験が紹介されている。...

本書はNHKの人間講座がもとになっている。番組を見ると松沢さんのすごさが分かる。チンパンジーのことばをあやつることができるのだ。まじめな顔をして、「オッオッオッ」とか「フーホーフーホー」などと言っているのを見ると、ついニヤッと笑ってしまう。本書ではいくつもの実験が紹介されている。チンパンジーのアイが数字を覚える、しかもちゃんと小さい順に並べられるとか、色と文字を一致させることができるとか。アイの子どものアユムがどんなふうに成長しているかもヒトの発達と比較して語られる。特におもしろい実験を2つ紹介したい。1つはカラーストループ効果というもの。実験はいたって簡単。赤・黄・緑という文字をそれぞれ緑・赤・黄など漢字の持つ意味とは違う色で書き表す。それを順に読んでいくというもの。これは大人にはなかなか難しい。ところが、色は知っているがその漢字を知らない子どもに言わせるとスムーズに言える。漢字を単に図柄として見ているからだ。アイにこの実験をさせる。すると、大人のヒトと同じようにつまってしまう。スムーズには答えられないのだ。おもしろい。もう1つは「心の理論」。他者の心を理解するような心を持っているかどうかを調べる。実験方法はこうだ。子どもたちにビデオを見せる。その中にまず男の子が現れる。その子は冷蔵庫を開けてジュースが冷えているのを確認する。その後部屋を出ていく。次に別の女の子が入ってくる。その子は冷蔵庫のジュースを出して横にあるかごの中に入れてしまう。そして部屋を出ていく。続いてはじめの男の子がもどってくる。さて、男の子はジュースを取り出すために冷蔵庫を開けるのか、かごを開けるのか。当然男の子はかごにジュースが入っていることを知らないから冷蔵庫を開ける。が、そういうふうに判断できるのは5歳ころになってからなのだそうだ。3歳では男の子の気持ちになって考えることができない。4歳あたりが境目だという。おもしろいことを考えるものだ。我が家の長男と長女にもビデオを見せて実験した。長男はちゃんと答えることができた。4歳である。長女は問題の意味が分からない。2歳だから仕方ない。さて、アイやアユムはどうなんだろう。残念ながらまだチンパンジーでは調べられていない。ヒトが分かるようなことばで表現することができないから難しいのだろう。うまい方法で調べてみてほしい。ヒトはその昔「太陽が地球の周りを回っている」と信じていた。それが今では「地球が自転しているためにそう見える」ということは子どもでも知っている。「チンパンジーはニホンザルよりヒトによほど近い存在だ。」このことを皆は普通に理解しているだろうか。だいたいしっぽがあるかないかの大きな違いがある。チンパンジーはモンキー(しっぽあり)ではない。ヒトやチンパンジーをエイプ(しっぽなし)と呼ぶ。このことを松沢さんはたくさんの著書を通じてうったえ続けている。そして、我々の隣人であるチンパンジーが減り続けることのないよう取り組まれている。読みやすい1冊です。本書を通してたくさんの人にチンパンジーのことをもっと知ってほしいと思います。

Posted by ブクログ