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レイトン・コートの謎 世界探偵小説全集36
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 国書刊行会 |
発売年月日 | 2002/09/20 |
JAN | 9784336044365 |
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レイトン・コートの謎
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商品レビュー
3.6
10件のお客様レビュー
「毒入りチョコレート事件」の斬新さが未だ忘れられず、他にどのような作品を書いているのだろうかと思って借りた本書は、元はユーモア作家として出発した、アントニィ・バークリーの記念すべき探偵小説一作目にして、「ロジャー・シェリンガム」シリーズの一作目でもあり、そこでは早速のバークリー...
「毒入りチョコレート事件」の斬新さが未だ忘れられず、他にどのような作品を書いているのだろうかと思って借りた本書は、元はユーモア作家として出発した、アントニィ・バークリーの記念すべき探偵小説一作目にして、「ロジャー・シェリンガム」シリーズの一作目でもあり、そこでは早速のバークリー節とも思われる興味深い事柄を、いくつか発見することができた。 それは冒頭の献辞「我が父へ捧げる」に記された、『なぜ探偵小説でも、他のもっと軽い小説と同じように、自然な雰囲気を作り出すことを目指してはいけないのでしょう』や、『最終章まである重要な証拠を取っておいて、読者を驚かせるために、決定的な証拠をほのめかしもしないで探偵に犯人を捕らえさせる』からも感じられた、超然としていない不完全な人間臭い探偵像や、所謂フェアプレイの精神のあり方は、今で言えば当たり前なことなのかもしれないが、羽柴壮一さんの解説によると、本書発表当時(1925年)は、ヴァン・ダインの二十則も、ノックスの十戒も、クイーンの読者への挑戦も、まだ書かれていなかったそうで、ここでの彼の言葉には探偵小説好きが高じたからこそ、これまでの鬱屈としたものを発散させたい思いもあったのではと感じられた、柵から解放されたような奔放さが印象的でありながら、初版での作家名を“?”としたことには、まるで優れた探偵小説に作家名は関係ないと云わんばかりの挑戦的な姿勢が垣間見えて、またバークリーらしいなと思う。 また、“?”といえば、探偵小説あるあるの一つである、「主な登場人物」に於いて名前だけ掲載しておきながら、その素性を“?”にすることで如何にもな怪しい感じを演出させる人物がいるが、ここでのそれは、そうした固定観念をものの見事にひっくり返した面白さに、バークリーはユーモアのセンスもあることを実感し、私は大爆笑。 そして、探偵ロジャー・シェリンガムについて、元々「毒チョコ」にも登場していたので職業が作家というのは知っていたが、ここでのあまりの性格の違いには驚き、改めて「毒チョコ」では、他のメンバーの為に自分を抑えていたことがよく分かり、おそらく素はこちらなのかなと思われた、そのキャラクターは、ぺちゃくちゃとよく喋る交際家で好奇心が強く、高度な観察癖もあるものの、服装に仕来りへの軽蔑があったり、自分の本の読者層を馬鹿にしきっていたりといった、負の一面を持ちながらも、基本的には素直な性格で、『考える=まっしぐらに行動すること』というポリシーに基づき、とにかくあやふやな方針でも思いついたら何でもやってみることで、時には失敗もあるけれど、というか失敗ばかりなんだけれども、彼の良いところの一つとして、何があっても決して諦めない、その姿勢は認めてもいいかなと思いながらも、時折見られる傲慢な物言いにカチンと来ることもあるのが、如何にも人間らしい(笑) また本書では、彼の親友である「アレック」と組むことで、所謂ホームズとワトスン的な関係を皮肉っているのか、本来はこうあるべきだと訴えているのかは分からないが、その凸凹コンビ振りがまた楽しくて、『調べを進めていく時は二人一緒で隠し事はしない』という姿勢に、最初こそ良い関係だなと感じたものの、その二人の意見の全く嚙み合わない様や素の大喧嘩に加えて、終いにはロジャー自ら、「頼むよ、アレック、一生に一度でいいから、話のわかる男になってくれよ」とワトスンに必死に懇願する顛末には、思わず笑ってしまったが、よくよく考えると本来の即席の探偵と助手のあるべき姿はこんなものなのかもしれないと思うと、これはこれで的を射ているのかもなと思えたものの、それにしてもダメ探偵だなと途中までは思ってました。 しかし、数々の失敗の中にも確かな発見をいくつかしていたことが功を奏して、終盤のロジャーの猪突猛進の展開には、読んでいるこちらがあたふたしたものの、まあ結果として・・・でも、伏線がちゃんと張られていたことが分かったり、巴妙子さんの訳の素晴らしさもあったのだろうが、1925年の作品とは思えない読みやすさが、特別な驚きが無くても探偵小説として楽しめたりといった、大胆なトリックというよりは、ロジャーの自信と落胆の繰り返しを見るのが楽しいというと、少々穿った見方なのかもしれないが、少なくともエンディングで彼の人柄が決して悪くないことを実感した時、バークリーが彼を探偵にした一番の根拠はそれなのかもしれないと思われたことだけは確かである。
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迷探偵ロジャー・シェリンガムの長編1作目で、初版の作者名は”?”でよく売れたそうです。▲レイトン・コートに滞在中、招待主のスタンワース氏が自殺した。額を撃ち抜かている上、不審な行動が目に付くことから殺人と睨み、友人アレックをワトソン役に2人でこっそりとアマチュア探偵を開始した▼リ...
迷探偵ロジャー・シェリンガムの長編1作目で、初版の作者名は”?”でよく売れたそうです。▲レイトン・コートに滞在中、招待主のスタンワース氏が自殺した。額を撃ち抜かている上、不審な行動が目に付くことから殺人と睨み、友人アレックをワトソン役に2人でこっそりとアマチュア探偵を開始した▼リアル志向なので、怪奇趣味やドラマチックな展開はありません。探偵が大戦帰りのベストセラー作家、自信満々な上、思い込み、間違え、行き違いと迷走しまくりですが、常識的で飛躍の無い良いユーモア本格ミステリに仕上がっています。(1925年)
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ともかく推理を間違えまくって、それでもめげずにと言うか、なんか自信にあふれるがままに突き進んで最後には何だかんだと真実に辿り着く。しかもいちいちハッタリを効かせたりと、妙に雑というか、適当な感じがある意味親近感をわかせて、これまた愉快な。 しかしこの時代の50年くらい後の推理小説...
ともかく推理を間違えまくって、それでもめげずにと言うか、なんか自信にあふれるがままに突き進んで最後には何だかんだと真実に辿り着く。しかもいちいちハッタリを効かせたりと、妙に雑というか、適当な感じがある意味親近感をわかせて、これまた愉快な。 しかしこの時代の50年くらい後の推理小説だったら、間違える度にどんどん新たな犠牲者が生まれそうだけど、そうならないのは時代というか。考えてみりゃ殺人なんて1件でも酷い話なのに、段々と大量に殺されるようになって、ホント、人間の欲望は果てしないネバーエンディングストーリー。
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