白日 小学館文庫

北方謙三(著者)

• 販売会社／発売会社: 小学館/
• 発売年月日: 2002/11/05
• JAN: 9784094033212

商品レビュー

2018/09/08

天才の心境たるやいかに。

という気分にさせていただける新しい感覚の本。面打ち師の天才てきな才能を持つ主人公が一人漁村に住み、淡々とした毎日を暮らしながら、密かにかかえ持つ才能との決着を待ち続ける日々。読んでて、天才とはそんな内に秘める才能と戦いながら形にしていくものなのか！！！！

と、全くそんな噴出すような才能を持ち合わせていない凡人は思うわけで、本を読みながらそういうものが息急き切って溢れ出すようなものを持ち合わせてるひとのことを天才って言うんだ！！！！そうか！！！！！

と、読みながら凡人の私ですら溢れ出しそうな才能に溺れそうになる一冊でした。

2007/09/02

ある情景を頭に浮かべてみる。
それは、自分の部屋でもいい、実家のげんかんでもいい、会社のオフィスでも、学校の教室でも、近くの公園でもいい。

さて、ではそれを実際に文章にしてみようとすると、その難しい事難しい事・・・。

北方謙三の面白みを語るにあたって、この風景描写、情景描写というのを語らずにはおられない。

この白日においては、主人公の家、船、海の三箇所しかほとんど出てこないといって良い。

しかし、まるで毎日通っているはずの道を、全く知らない道のように書いてくれるのが北方謙三だ。

ただし、北方作品の多くにあるようなバイオレンスシーンはこの作品ではほぼなし。

それでいて、この作品には暴力というものが内包されている気がする。

人が内包している暴力というものを、釣りそして能面というものを通して書いている作品ではないでしょうか。