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暗黒日記(2) ちくま学芸文庫
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暗黒日記(2) ちくま学芸文庫

清沢洌(著者), 橋川文三(編者)

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暗黒日記(2) ちくま学芸文庫

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商品詳細

内容紹介 内容:昭和十九年
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2002/07/15
JAN 9784480087126

暗黒日記(2)

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商品レビュー

4.7

3件のお客様レビュー

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2014/01/04
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※このレビューにはネタバレを含みます

----- 昭和十七年十二月十二日(土)  右翼やゴロツキの世界だ。東京の都市は「赤尾敏」〔代議士〕という反共主義をかかげる無頼漢の演説のビラで一杯であり、新聞は国粋党主〔国粋同盟総裁〕という笹川良一〔代議士〕という男の大阪東京間の往来までゴヂ活字でデカデカと書く。こうした人が時局を指導するのだ。  ラジオの低調はもはや聞くにたえぬ。  二三日以前、警察署の情報部のものが来て英米に対する敵愾心宣伝の効果如何を聞きに来たる。奥村情報局次長がやっている政策に対する批判だ。僕は奥村更迭の要をのべた。  大東亜戦争下の失敗は、極端なる議論の持ち主のみが中枢を占有し、一般識者に責任感を分担せしめぬことであった。     --清沢洌(橋川文三編)『暗黒日記1』ちくま学芸文庫、2002年、24頁。 -----   年末から清沢洌の『暗黒日記』(岩波文庫、ちくま学芸文庫ほか)を読み直していましたがようやく読了。敗戦直前の四五年五月までの二年半の間、戦時中の政治と世相を記した日記だけど、読み終えて暗澹たる気持ちになる。 民衆自体も知らず知らずのうちに加害していく構造と後押しする体制。今も同じなのではないだろうか。 相手から学ばず、でかい声を出した方が勝ちになる。あいつは主義者だといえば知識人は口をつぐみ、配給組織の隣組は相互監視の燻りだしの密告社会へと機能していく。 「いやさか、いやさか」と精神で勝とう!と人は言う。しかし「精神に徹せよ、といっても、徹した後にいかにするかの具体的方法がなくては何もならぬ」(十八年四月三十日)。 非科学的精神主義の軍部と外を知らぬ指導者。歪曲された情報に躍る臣民ががっちりタッグを組む勢い。「不思議なのは『空気』であり、『勢い』である。(米国にもそれはあるが)日本のものは特に統一的である。その勢いが危険である。あらゆる誤謬がこのために侵されるおそれがある」(十八年六月二十七日)。 『暗黒日記』序文には次のようにある。 「お前(七歳の長男)は『お父さん、あれは支那(中国)人じゃないの?』と壁にかけてある写真を指して聞いた。『ウン、支那人ですよ』と答えると、『じゃ、あの人と戦争するんですね』というのだ。……お父さんは憂鬱になったんだ」。 子供にそう問いかけられたくはない。 「お前はまだ子供だからわからないけれども、お前が大きくなっても、一つのお願いは人種が違ったり、国家が違うからといって、それで善悪可否の絶対標準を決めないようにしてくれ。……お前は一生の事業として真理と道理の味方になってくれ。道理と感情が衝突した場合には、躊躇なく道理につくことの気持を養ってくれ」(同序)。 http://d.hatena.ne.jp/ujikenorio/20140104/p1

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2012/11/24

半年近くかけて風呂場で読んだ。 1944年分の日記。清沢洌がシニカルかつ自由主義的な視点から、戦時下の日本を見る。 キケローっぽい(取り消し線)。 サイパン失陥からそろそろ本土空襲が始まる時期である。 「この白昼、敵が帝都の上を堂々と通過するのである。それを我軍が、どうすることも...

半年近くかけて風呂場で読んだ。 1944年分の日記。清沢洌がシニカルかつ自由主義的な視点から、戦時下の日本を見る。 キケローっぽい(取り消し線)。 サイパン失陥からそろそろ本土空襲が始まる時期である。 「この白昼、敵が帝都の上を堂々と通過するのである。それを我軍が、どうすることもできないのである。実は、そんなに我飛行機が劣弱なものであるとは思えなかった。『まさか、あんなのが敵機ではあるまい。僕は日本の防空陣を信用するから』と人に話した。皮肉では決してなかった。」―1944/11/7 ただの皮肉屋ではないことがこの日記からわかる。本当に心から「大日本帝国」の命運を案じていたのだ。 戦争前夜~戦時中に最も弾圧されたのは共産主義者ではなく、自由主義者であるという。 3巻は1945年正月からである。

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2006/12/12

昭和19年の日記。この年より本土が戦火に襲われ、それにあわせて新聞では鬼畜な所業を働くけだもの米兵の逸話と噂がでまわり、犯されたくなかったら最後まで戦え、戦って死ねと国民を煽る。その一方で上級役人は現実無視・理論倒れのアイデアをどさくさまぎれに嬉々として実施して国を混乱させ、下級...

昭和19年の日記。この年より本土が戦火に襲われ、それにあわせて新聞では鬼畜な所業を働くけだもの米兵の逸話と噂がでまわり、犯されたくなかったら最後まで戦え、戦って死ねと国民を煽る。その一方で上級役人は現実無視・理論倒れのアイデアをどさくさまぎれに嬉々として実施して国を混乱させ、下級役人は恣意的に国民をいじめて悦に入り、財界と右翼は国民からタダでまきあげた徴収物資を横流しして金を儲け、政治家や軍人は無能振りを隠すために全てを国民に責任転嫁し、国民はごもっともとうなずき恐縮する。今と変わらない、日本ってとても素敵な国とわかる本です。

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