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前方後円墳と吉備・大和
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 吉備人出版/ |
発売年月日 | 2001/12/08 |
JAN | 9784906577866 |
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前方後円墳と吉備・大和
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商品レビュー
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1件のお客様レビュー
近藤義郎先生忌。 4月5日は、わたしの尊敬する考古学者、近藤義郎先生の命日である。今回、本書のレビューの前に旅の体験をひとつ。 2012年7月に「考古学通論」(レビュー済み)を読んだ時、「退官の時に朝鮮考古学への贖罪と発展を願って、自分の蔵書を釜山大学に寄贈した」と語っていた。...
近藤義郎先生忌。 4月5日は、わたしの尊敬する考古学者、近藤義郎先生の命日である。今回、本書のレビューの前に旅の体験をひとつ。 2012年7月に「考古学通論」(レビュー済み)を読んだ時、「退官の時に朝鮮考古学への贖罪と発展を願って、自分の蔵書を釜山大学に寄贈した」と語っていた。それを読んでその年の8月にロング韓国旅をした時に、その「近藤義郎文庫」を見に行った。 2012年8月8日、釜山大学の構内で迷いに迷った。図書館にあると思ったのに午前中探し回って、なかったのである。釜山大学博物館の助手らしき人に尋ねてみた。 「ああ、近藤先生の寄贈本!」 直ぐに分かって呉れて、別館の考古学の事務室に連れて行って呉れた。そこで若い女学生(?)に案内を引き継いで別館の書庫に連れて行って呉れたのである。(←要は最初からこっちへ来れば良かったんです) 学者が書いた専門書が並んでいるかと思いきや、想像と違った。書庫の約1/4を占めて、スチール本棚10箱が近藤文庫であったのであるが、なんとその9.5割は各地域の発掘報告書だったのである。公共図書館では無く、個人がそこまで報告書を集めるものなのか。日本を代表する考古学者とはこういうものなのか。改めて尊敬の念が湧く。昭和8年(題名失念)発行の報告書には、流石に先生の引いた線がたくさん入っていた。 お互い言葉が良く分からなくて、私が何者か、何故この文庫を見に来たか、説明出来ないまま、「岡山から来た」というだけで案内してくれた釜山大学の方たちに感謝しかない。そして、「近藤先生」として、20年前に寄贈された文庫がキチンと学生に引き継がれていることに、感動した。 実はこの旅の中頃、デジカメを紛失するという事件が起きた。よって、この書庫のラインナップを写した数枚の写真も無くなった。いつかリベンジしに行きたい。今度は翻訳アプリがあるので、たくさん交流できるはず。 近藤義郎岡山大学名誉教授は、古代製塩の実態を明らかにした喜兵衛島(香川県)、延べ一万人が参加し戦後の国民的歴史学の一翼を担った月の輪古墳(岡山県)、「超大物」の弥生首長墳丘墓である楯築墳丘墓(同)、最古の埴輪を追った都月坂1号墳(同)などを発掘した。それらの成果は「前方後円墳の出現をもって古墳時代と考える」と説いた著書「前方後円墳の時代」(1983)(レビュー済み)に結実する。 そして、70代になって書いたのが、最後の学術書「前方後円墳と吉備・大和」(1997年吉備人出版)である。 吉備の弥生時代の祭祀の最大器物、特殊器台と共に実に多くの人間が、吉備から大和に移り住んだ。吉備の中心は大和に移った。という説を唱えた。近藤先生は決して「古事記」などの文献を利用しない。よって、邪馬台国の「や」の字も出ない。純粋に「物」の証拠のみでそういうことを言ったのである。 私は佐原真によって「考古学の視点から平和を論じる」ことを学び、近藤義郎先生によって「吉備の地方から国造りを考える」視点を学んだ。 近藤義郎先生が亡くなったのは2009年4月5日(84歳)だが、その死は遺言で半年伏せられたという。お別れの会の予定もないというほどの徹底振りである。秋に私もその報を接し、岡山の実に多くの人間が「何をそこまでしなくても…」という感想を持った。ある教え子は「先生らしいといえば先生らしいんですが…」と言った。先生の教え子で「怒られなかった学生はいなかったんじゃないでしょうか」という。他人に対する以上に、自らに厳しい人だった、らしい。
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