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アメリカの産学連携 日本は何を学ぶべきか
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アメリカの産学連携 日本は何を学ぶべきか

宮田由紀夫(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東洋経済新報社
発売年月日 2002/05/07
JAN 9784492500965

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2011/02/03

 米国の産学連携の発展と問題点を、豊富なデータとともに明らかにしようとする本。  なぜ産学連携をやるのか?これは根源的な問いかけである。産学連携をすることの、大学の利点や社会全体の利点を考えていかなければならない。これを検討していくには、日本での産学連携推進のそもそものきっかけと...

 米国の産学連携の発展と問題点を、豊富なデータとともに明らかにしようとする本。  なぜ産学連携をやるのか?これは根源的な問いかけである。産学連携をすることの、大学の利点や社会全体の利点を考えていかなければならない。これを検討していくには、日本での産学連携推進のそもそものきっかけとなった、米国の産学連携を知っておく必要がある。  しかし、日本語で読める情報は思いのほか少ない。このような状況に、ある意味風穴を開けたのが、2010年に出版された「アカデミック・キャピタリズムを超えて」(著・上山隆大)である。産学連携の実務者は、前述の「アカデミック・キャピタリズムを超えて」を読めば、おおよそ抑えるべき論点は把握できる。  前述の書籍のおかげで、米国の産学連携のあらましはおおよそ理解できると思われる。そして、日本の産学連携の実務者が、常に現場で問いかけられる論点、例えば「なぜ産学連携をやるのか?」「なぜ大学が特許を出すのか?」について、一定程度は答えられる。  これに加えて、本書「アメリカの産学連携」は、豊富なデータに基づいて、米国の産学連携の歴史と問題点を解き明かしていく。17世紀の米国の大学の誕生に始まる歴史や、連邦政府からの研究予算伸び悩みにつながった背景などがまとめられている。  また、例えば、米国のTLOが、ライセンス収入や発明の商業化、研究資金受け入れなど産学連携に欠かせない活動のうち、何を重視していたのか、など興味深いデータが収められている。  他に、経済のグローバル化に伴い、80年代の米国における懸念も記述されている。それは、日本が経済的に成長していた中、日本企業が積極的に米国の大学にアクセスしていることに対するアメリカ人の懸念であり、日本企業との関わりは米国の雇用創出に貢献していないという批判であった。  当時の米国の状況は、閉塞感のある現在の日本と共通するところもあるのではないだろうか。日本の産学連携の国際化に伴って、同様の批判が日本国内でも出てくる可能性はある。米国ではどうなったのだろうか?米国外との企業との連携に制限を設けたのだろうか?  本書の最終章には、米国の産学連携の歴史と問題点、日本の産学連携の経緯が要約されている。産学連携の実務者にとって最も役立つのはこの章かもしれない。結局のところ、日本の産学連携の問題は、実用化に直結する研究成果が出ていないことであることが、米国の実績と比較して導き出される。なぜ、優れた研究成果が出ても、それを必要とする企業に行き渡らないのだろうか。これは「なぜ大学が特許を出願するか」の問いにも通ずる。2000年頃までに認識されていた日本の産学連携の問題点と課題を改めて再確認してもよいと思われる。

Posted by ブクログ

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