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色のない空 虐殺と差別を超えて
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 春秋社/ |
発売年月日 | 2001/04/26 |
JAN | 9784393495230 |
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色のない空
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商品レビュー
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2件のお客様レビュー
年も替わって一九六七年、私はたぶん十一歳になっていました。カレンダーなどありません。新聞もなく、ラジオを聞くこともできません。日付というものは、私たちには無意味なものになっていたのです。(p.47) 「彼ら」は私たちの幸せを、そして自由を奪いました。しかし、私たちの心の奥まで...
年も替わって一九六七年、私はたぶん十一歳になっていました。カレンダーなどありません。新聞もなく、ラジオを聞くこともできません。日付というものは、私たちには無意味なものになっていたのです。(p.47) 「彼ら」は私たちの幸せを、そして自由を奪いました。しかし、私たちの心の奥まで支配することは不可能でした。(p.70) 「早く死んだ方が運がいい」などということがあるのだろうか…この先もこうやって苦しみ、そして結局死ぬのならてんいや、どうにかして生きていけるのでは?そしてきっといつか、このひどい状態が終わる日が来るのでは…(p.79) 不吉な考えの方が正しかったようです。そう言えば、子供グループでダム造りをしている時、あの女組長がさかんに私に鎌をかけてきたことがえりました。…(略) おそらくそれは、処刑の対象となる人物のリスト作りをしていたのです。(p.97) 「おまえらを殺すのは、この方法が一番だ。銃で撃つなんて弾がもったいない」 私と変わらぬ十代の少女たちが、薄ら笑いを浮かべながら、得々とそう話すのです。彼女たちはおそらく、時々やってくる少年たちから話を聞いて、具体的な処刑の方法まで精通しているのでしょう。 《こいつらは人間じゃない》と私は心の中で叫びました。…(略) まさしくカンボジアは鬼畜の国になっていました。《ポル・ポトの宣伝によって都市民を憎むようにしむけられた》というような程度の話ではありません。まさしく、人々は、血に飢えた悪魔のようになっていました。 今になって考えれば、干ばつによる食糧不足も、天災というよりは、ポル・ポトという悪魔のあえて選んだ道のように思われます。畦をまっすぐにするといった効率の悪い労働ばかりを計画しただけでなく、農村から取りあげた食糧を中国に売り、代わりに武器を買っていたというのですから。むしろ、そうやって人々を苦況に追いやり、いらだたせ、それを「敵」である「プノンペン市民」に向けさせ、大虐殺を進めようとしたとさえ言えるでしょう。(p.99) かくして、四年に及ぶ地獄の時代は終わりました。 まさに奇跡です。苛酷な強制移住、強制労働の中、わずかな汁粥のみを糧に、数々の病気になりながらも、私たちは生き残ったのです。人が成長していく過程で欠かすことのできない栄養や、発達に必要な刺激など、まったくなかったのです。精神を形成していくために必要な教育も、心を支える信仰も、全部取り上げられたのです。 それでも私は生きることを望み、生き延びました。 罪のない何百万人の人が虐殺され、あるいは病死しました。その中で生き残ったのは、まさに奇跡としか言いようがありません。けれども、私たちも無傷であるわけではありません。運命を変えられ、そして何よりも、深い深い心の傷を受けたのです。肉親を失う悲しみ、人が死んでいくのを見た辛さ、虐待の恐ろしい仕打ち、そしてどす黒い悪意をもって自分にぶつけられた言葉やまなざし…。それは生涯にわたって背負っていかなければならない傷なのです。(p.155) 神様は私たちを平等に愛してくださっています。なぜなら、一人一人に対して一つずつしか命を与えていません。そして誰もが、学ぶ権利、生活していくために働く権利、人として尊厳をもって扱われる権利を持っています。確かに与えられた命の原石は、それぞれに違う色・姿かもしれませんが、自分なりに磨き上げれば、きっと世界でたった一つの輝く宝石のような人生になるでしょう。(p.244) 愛国心を持つもの同士が、敵を作り、同じ人種を虐殺していた異常な歴史があり、知れば知るほど、その時代を生き延びた人は奇跡に近いのだと思った。食べるものも着るものも、ちゃんとした家もなく、衛生環境も悪い中、過剰労働させられる日々。これだけでも辛いが、何より終わりが見えないことに絶望を感じる。いつ自分が連れていかれ処刑されるのか、常に緊張して怯えながら生きていたなんて、生きた心地がしなかっただろう。「一度殺された」といっても過言ではない。故郷を想いながら、日本で、失った幸せを取り戻してもらいたい。
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今、まさにポル・ポト派の裁判が佳境に入っています。同一民族で起きた大虐殺の事実。何故起こったことなのか明らかにする最後のチャンスだ。カンボジア一国内で始まった話ではないことを私達も知らないといけない。もっと注目したい。
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