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兄嫁の寝室 フランス書院文庫
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兄嫁の寝室 フランス書院文庫

見月透(著者)

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兄嫁の寝室 フランス書院文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 フランス書院/
発売年月日 2001/02/25
JAN 9784829610176

兄嫁の寝室

¥440

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2019/02/20

貞淑な兄嫁の「もうひとつの顔」が滲み出る彷徨いの遍歴

今のところ本作限りの「見月透」名義作品。初見では「月見」(つきみ)と見間違えそうだが、正しくは「みづき」と読む筆名である。一応のデビュー作ではあるが、既出作家の変名ではなかろうか。オビに記された「鬼頭龍一氏激賞」は、あるいはもしや当人の変名による自作自演では?などと少々訝しんでし...

今のところ本作限りの「見月透」名義作品。初見では「月見」(つきみ)と見間違えそうだが、正しくは「みづき」と読む筆名である。一応のデビュー作ではあるが、既出作家の変名ではなかろうか。オビに記された「鬼頭龍一氏激賞」は、あるいはもしや当人の変名による自作自演では?などと少々訝しんでしまうところだが、ヒロインを示す「貞淑な兄嫁優美子の裏側 兄のいない晩、僕が知った 淫らなもうひとつの顔」は正鵠を射ている作品である。 お嬢様育ちだった【優美子】が学生時代にめくるめく体験をしていたという過去設定は本作のほぼ全編に渡る背景となる。貞淑で控えめな妻ではあるのだが、その体験を忘れ切れずに持て余し、淡泊な夫では満たされずに疼く日々を送っている。そんな優美子に熱視線を送っているのが義弟であり、夫が出張した夜に一線を越えてしまう契機として早くも優美子の裏側、もうひとつの顔が滲み出る形になっている。なお、この夫の出張は最後に真意が判明することとなる。 中盤では不意に早く帰宅した夫との睦言が描かれている。大体において背徳感に欠けることの多い夫婦の営みはあまり興奮を誘うものではないが、ここでは義弟との秘め事があって乗り気でない優美子へ夫が執拗に迫る形になっていて悪くない。そして、普段とは異なるその執拗さが物語の分岐点にもなっている。 義弟とは一度きりと約束してしまい、それを義弟も(我慢しながら)守ることから彷徨い始める優美子に訪れた刺激。買い物帰りの電車痴漢遭遇に思わぬ快感を覚えたことから過去を追体験すべく大胆な行動に出る。調子に乗ったせいで見知らぬ若者2人の餌食にもなってしまうのだが興奮度の高い展開が続く。だがしかし、その間に妹の【奈美子】が義弟に接近していたのである。後悔するも後の祭りだが、この奈美子はなかなかの小悪魔で、後々にも、と言うか以前から実はやらかしていたことが最後に判明する。異性に奔放な妹の魔手から義弟を奪い返すべく嫉妬心も露わに行動を始める優美子である。 初心だった過去からオンナ真っ盛りの現在を通して義弟の誘惑からさらなるスリルを求め、果てには義弟を妹と奪い合う優美子の痴態は正に貞淑な仮面に隠された裏側、もうひとつの顔であった。ただ、何につけても過去体験の記憶が出てくるのは、とりわけ序盤において目前を蔑ろにしているような印象にもなったため、ちょっとばかし過去を追い求め過ぎにも感じた。 まるで風船が萎むような唐突な結末は、おそらく最後の3行で示された滑稽なオチを当初から想定していたものであろう。ほとんど描かれてこなかった人にも懲りない所業と因果応報があると簡潔に綴っている。

DSK