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屍蝶の沼 長編ホラーミステリー 光文社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 光文社/ |
発売年月日 | 2001/02/20 |
JAN | 9784334731120 |
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屍蝶の沼
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屍蝶の沼
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商品レビュー
2.5
2件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今まで読んだ司作品の中で、ベストの1冊。なぜ今までこのような書き方をしなかったのかと首を傾げたくなるぐらいの出来。 今回採用しているのは三人称叙述で、一尺屋シリーズの一人称叙述と違い、文体が格段に進歩していた。同じ三人称叙述の『首切り人魚~』と比べてもその違いは雲泥の差。 今まではストーリーを語るというよりもプロットを語る、つまりパズルを解いているプロセスを説明しているかのような味気ない文章だったが、この作品では、いわゆる「じらし」の手法に磨きがかかり、その抑制した文章には張り詰めた緊張感が一様にあった。 そして物語を彩る登場人物たちも、今までの諸作品には見られなかった個性があった。 主人公を務めるしがないルポライターの高野舜と元恋人で「羽室新報」の社員、稲葉菜月の二人と、ほとんどサブキャラクターでしかないが、印象深い上司の松岡を始めとして、一部記憶が無くなるという症状を持つ能面師三村、梨花の担任のサラリーマン教師米沢、幻覚を見るという同級生の間宮弓子、家庭内確執を隠す仮面家族、原嶋一家とその家に勤める家政婦や用務員ともども。 今までの作品では単に推理ゲームの駒の1つのようにしか語られなかった登場人物がそれぞれの過去にエピソードを孕ませることで深みを増したように思う。 そして1人の少女の死が、戦後の毒ガス実験に繋がっていくという物語の展開も事件の背後に隠された驚愕の事実という事ではなかなか秀逸だ。 いやあ、とにかくガラッと変わったというのが第一印象だ。 おまけに今回作者目指したホラーと推理の融合という目標は達成していると思う。実際、色が黒ずみ、痙攣を起こし、人相が変形する奇病は恐ろしかったし、羽室町という町が大きなお化け屋敷のように変わっていくのも読みながら手に汗握った。 しかし、しかしである。 後半は急ぎ過ぎた。 じわじわと雰囲気を盛り上げていった割には最後の真相が駆け足になってしまったようで、なんとも呆気ない(10歳の子供が犯人というのはちょっと肩肘張りすぎではないか)。 最後もぶつっと切れてしまったような終わり方で、エピローグが欲しかった。今までの司作品では島田作品ばりのエピローグが特徴的で、時にはお涙頂戴的なそのエピローグが蛇足に感じていたのに、今回は逆にそれがないがために消化不良の感がある。 前にも書いたように今回の文章は別人が書いたかのような出来映えである。 が、しかしこれはようやく作品として読むに耐える文章を得たという事に過ぎなく、今からが実質的なスタートラインだろう。次回もレベルを維持している事を期待する。
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深夜の沼に入水していく、焼け焦げたような矮人の群れという、不気味なイメージに始まり、凄惨ではあるけれど、ありふれてはいる殺人事件と思われたものが、奇怪な死の連鎖を生む。彼らに死をもたらした、沼の底に潜む存在は何なのか? なんていう辺りまではいいんだが。事の真相が実在しない、多分お話の都合に合わせたんだろうヘンテコなもので、さすがにこれはない。散々広げた大風呂敷は畳む意志もなく、おっぽり出されるし。どうにもこれは困る。
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