惑わしの森 ホラー小説 祥伝社文庫

飯野文彦(著者)

• 販売会社／発売会社: 祥伝社/
• 発売年月日: 2001/11/10
• JAN: 9784396328955

商品レビュー

2011/03/17

祥伝社文庫の書き下ろし「中編」。

売れない作家佐久間が、恩人でもある雑誌編集長の佐久間から依頼されたのは、A樹海の奥にある「奥樹海」という場所の取材と、それを元にした小説の執筆だった。ある件から樹海がトラウマになっていた佐久間だったが、後ろめたさと好条件で引き受ける。かつて一緒に仕事をしたカメラマンの小沢と共に樹海に分け入った佐久間は、次々に異様な姿を見、異様な声を聞く。そこはまさに「異界」だった……。

樹海の奥に潜む秘密がこの物語のキーとなるのだが、全般的にこの「中編」と言う長さがどうも半端に思えてならない。物語の大半は樹海の中での主人公とカメラマンとのシーンなのだが、もっと書き込んで長くすることも、あるいは色々切り落として短編にすることも出来ただろう…と感じた。
心に傷を持つ主人公が怪異に徐々に取り込まれていくその展開は、この作者の得意とするところだと思うが。