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至福の味
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房/ |
発売年月日 | 2001/07/31 |
JAN | 9784152083562 |
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至福の味
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商品レビュー
3.7
17件のお客様レビュー
死を間近にした美食家…
死を間近にした美食家が探し当てた、最高の至福の味とは……?予定調和的かもしれませんが、美味の描写が素晴らしいです。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
小説の中の食事風景が好き。加えてこの本は「趣味の問題(フィリップ・バラン著)」の翻訳があまりに読みやすくて同訳者を探して読んだ本。これも読みやすかった。このお話の魅力は、素晴らしい食事描写、そして老人の人物像が周りの人間によって少しずつ形を成していく語りにある。 食を豊かな語彙で表し、文章で楽しませてくれる本著は読んでいて楽しかった。この主人公にとって食事とは、情熱・信念・哲学・芸術…ありとあらゆることを呼び起こす素晴らしいものなのだ。彼の人生ともいえる食の記憶は、大切に思うものだけあって、読んでいるこちらも腹が満たされる気分になってくる。 だが食の鮮やかで愛着あふれる描写とは一転して、周囲の人物たちの主人公に対する態度は基本的に冷ややかなものだ。主人公の性格はお世辞にも良いとはいえないので当たり前ではある。親愛のみならず愛憎から少し生っぽい性まで語られるのでこちらもバリエーションは豊かだと思う。 話の冒頭に「たくさんいる甥や姪のなかで、わたしが気に入っていて、高く評価しているのはポールだけだ。人生の最後の数時間を共に過ごすことを認め…(p13)」とあるように、周りを、特に身内の人間には見下し、扱いに差を設けていることを隠さない。また昔からそれが変わらない性分なことが、幕間で登場する実の娘息子の独白から知れる。 ただし、美食評論家の主人公は魅力も備えている。仕事に精力的であり、言葉を美しく紡ぐ主人公への信奉者が登場したり、性格を好まなくても実力は認めているという人物が出てくる。とはいえ心を許した甥、素晴らしいと褒め称える料理人からの人間評は良いものではない。 彼が心の底から尊敬し認めるなど心を寄せた人間には同じ思いを抱えてもらえず、反対に見下したり一線を引いているだろう人間には複雑な愛を抱かれていて、味わい深い人間模様が描かれている。老人の語る色とりどりの美しい食事描写と周りの登場人物たちの思いのちぐはぐさもこの本の面白さの一つだ。叔母の美しい庭の描写、五感を駆使して描かれる思い出の風景と食事の数々。最後の方になってやっと、お気に入りの甥っ子ポールが独白の語り手として登場するのがニクい。けど突然彫像や猫が流暢に語り出したのにはちょっと驚いた。 最後に食べたいものは、高級料理とは程遠い「スーパーのシューケット」という締め。求めていたものは身近にあった系統で、訳者あとがきには「青い鳥」と言い表されている。あまり秀逸なオチではないけど、人生の終幕の終わりを待つ温い一時を体験するような物語だった。 追記 作中「ミントとガゼルの角が入ったお茶」が登場する。どんなものかネットで調べてみるとコロヌ・ドゥ・ガゼルという中東の伝統菓子が存在するらしい。「ミントとガゼルの角が入ったお茶」というのは簡単なお菓子のついたティーセットのことを意味するのかもしれない。漢方薬のように角が薬として使われているのか珍味なのか、ネットを探してみたが見つからなかった。
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臨終の時を迎える美食家と、彼を巡る人々の独白。 心にもないことを言うことで誰もが羨む地位を手に入れた自分に対する自己嫌悪のせいで、周囲の人々を嫌い抜いて、自分を本当に愛してくれる人たちを地獄に住まわせた。その臨終の時、彼の死を惜しむ人は誰もいない。 という人生をしくじった男の話...
臨終の時を迎える美食家と、彼を巡る人々の独白。 心にもないことを言うことで誰もが羨む地位を手に入れた自分に対する自己嫌悪のせいで、周囲の人々を嫌い抜いて、自分を本当に愛してくれる人たちを地獄に住まわせた。その臨終の時、彼の死を惜しむ人は誰もいない。 という人生をしくじった男の話の軸に、その男の食べ物にまつわる記憶の蔦を優雅に絡ませた、とってもおいしそうな小説。 ワインを飲んでみたくなった。お酒飲めないけど。 白ワインはカルボナーラに合うんだって。ちょっと試してみたい。 一口目のブランデーを口の中にずっと含んでいると、どんな香りがするんだろう? 二口目は一気にあおる。すると食道が焼けるように熱い。……これは試さないでおこう。やったら絶対にむせちゃう。 パンの描写もおいしそうだったな。ただのパンなのに。 同じような材料で、様々なパンが作られているのは、考えてみると不思議だ。
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