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狂王ヘロデ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社/ |
発売年月日 | 2001/09/10 |
JAN | 9784087745078 |
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
イエスの時代のユダヤの暴君とされているヘロデ。息子たちをはじめ次々と親族を殺し、疑いのうちに死んでいったが一方で名君とされ、経済繁栄を招き、アウグストゥスの友とされた大王。美男子・優秀な頭脳・ハスモン家に繋がる華麗な閨閥を持つ王が、決して狂気の人ではないが、権力の中で、いかに孤独と闘い、そして多くの妻を持つ複雑な家族の悲劇を感じます。登場人物がややこしく、冗長で今一つ。終わり近くで「変わった男の子がナザレかベツレヘムに生まれた」とイエスの誕生を示唆する他は純粋なヘロデの物語です。
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※このレビューにはネタバレを含みます
紀元前73年頃から紀元前4年にローマ帝国の後ろ盾を得て、ユダヤの王と認められた大王ヘロデ。 国を建設的に整えていく一方で、その心には魔が棲み始めて・・・。 その様子を見、その叫び声を聞く竪琴弾きの男。言葉を話せないと周囲に思われていたこの男は「穴」と呼ばれ、言葉を発せないと言う安心感から、王やその周囲の人々は「穴」の側でさまざまな姿を見せる。 (「穴」が宮廷内の出来事を外に漏らす心配が無いので) 妻を殺し、その母を殺し、わが子も次々と王座を狙っていると思い込んで殺害するヘロデ王。 愛情をかけてみたり、追放したり、呼び戻し謝罪したかと思えば、闇に葬ったり・・・。 王座を血で勝ち取った彼にとって、後継者が自分を身を脅かすのではないかと常に疑わずにはいられない悲劇。 その王に自分に有利な讒言をして、のし上がろうとする臣下たち・・。 自分の子どもを王座に押し上げようと必死な王妃たち・・。 権力に吸い寄せられる者たちの企みに振り回されているようでもあり、それを見透かしているようでもある王の言動は、賢王のようにも見え、また恐王のようでもあります。 その王の側で、常に王に献身する側近のアキャブが一番立派な人なのかもしれません・・。 悪知恵ばかり働く王の妹サロメ、いつも愚痴ばかりこぼす弟フェローラス、この二人がいつまでも王の側にいたことも、そしてそれを排除できなかった王の決断力の無さも悲劇の原因なのではと思ったり・・。 ヘロデ王と言えば、新たな王(救世主)の登場を恐れて2歳以下の幼児を虐殺した話と、それを描いたブリューゲルの「ベツレヘムの嬰児虐殺」と言う絵が印象としてありますが、実際に行なったかどうかは分からないとか。 でもやりかねないと思われるほど、恐れられていたんでしょうね。 「狂王ヘロデ」を読むと、王の苦悩なども分かる気がするのですが・・。 豊臣秀吉といい、呉の孫権といい、権力を握った後に老齢になって、道を踏み外して、血生臭い争いの原因を作っている感があるんですよね・・。 権力を長く持ち続けることは良くないのか? これ、今の社会にも当てはまるんでしょうか、ね・・。苦笑 結局、ヘロデ王の跡を継いだのは、後継者争いから離れていたサマリア出身(蔑まれた土地出身)の王妃マルタケの息子アルケラオスと言う皮肉。 身分が低いからと、政権争いに関わらなかった者が受け継ぐとは。 しかも、本には載ってませんでしたが、その後このアルケラオスは失政して、追放されると言う運命に。 ヘロデ王が何としても守りたかったユダヤの国は、あっという間にローマ帝国の直轄地に。 上手くいかないものですね・・。 しかし、読んでいて同じ名前の人がよく登場するんですよね。 親の名を受け継いだりするので、非常にややこしいなぁと思いました。 正直エルサレムやユダヤの歴史に疎いので、時間がかかりましたね、読み終えるのに。 歴史に基づいた小説なので、ある程度ヘロデ王の所業について知ることが出来ました。 全てにおいて偉大である王って、なかなか存在し得ないんですね・・。 *洗礼者ヨハネ殺害で有名なサロメは、ヘロデ王の妹サロメの曾孫だそうです。 血は争えないですね。
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