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作画汗まみれ
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4.7
5件のお客様レビュー
大塚康生の歴史≒日本アニメの歴史。 これは彼を中心にし、宮崎駿、高畑勲をはじめとする数々の才能と共に作り上げた日本アニメ1990年以前の歴史書だ。 アニメーターとしての心得的なものが大塚康生さんの言葉から学ぶ事ができる。 ただ、「アニメーターとはこうあるべきだ!」という強い口調...
大塚康生の歴史≒日本アニメの歴史。 これは彼を中心にし、宮崎駿、高畑勲をはじめとする数々の才能と共に作り上げた日本アニメ1990年以前の歴史書だ。 アニメーターとしての心得的なものが大塚康生さんの言葉から学ぶ事ができる。 ただ、「アニメーターとはこうあるべきだ!」という強い口調では書かれておらず、あくまで個人的な見解という点から書かれているのがいい。 カリオストロなども名作を描いていた人が、どういう気持で絵に魂を込めていたのかがわかると、映画の見え方も変わる。 印象に残ったこと。 ・大塚康生氏は機械を描く事が好きだった。それが昔のカリオストロの城などで遺憾なく発揮されている。本人の愛車がFIAT500。 ・ここに出てくるアニメを視聴した後に読み返すと、違った発見が多くできそうだ。見たことのない作品ばかりだったから。 ▼アニメーターとは作家なのか?という事について、深く考えていたようだ。 商業用アニメを営利のために作る、という輪の中にいるという自覚が大塚さんにはあった。 「作家」が作るプライベートフィルムの仕事は、多くの観客の共感を得るための動かし方と違っても許される。むしろ、そこに芸術的価値があるという。 しかし、大塚さん本人は上記のような事に興味がなかったようだ。 周りに凄まじい才能がある人がいたからというのもあるのだろう。 御本人は作画のプロフェッショナルとして他セクションのプロフェッショナルと関わることに自分の価値を見出していたのだと思う。 ものすごく面白い本だった。アニメ好きは是非読んでみてほしい。
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興味あるアニメ映画製作の話でとてもおもしろかった。 日本におけるアニメ映画の黎明期の話で、まさに日本独自のやり方ができていく過程が少しでも分かった気がした。 熱意と能力を持って作り上げてきた人たちの、その姿に尊敬の念と感動を覚えました。 自分の業界も比較的新しく、同じような話があるのかなあとうらやましく思います。
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映画というのは、一秒間に24コマの画像が映写されることで、止まった写真が動いて見えるような仕組みになっているのは知っていた。けれども、一般的なアニメーション作品は2コマ撮りといって、一秒間に流れる24枚の画像のうち、二枚を一画像で処理していることを、この本ではじめて知った。さらに...
映画というのは、一秒間に24コマの画像が映写されることで、止まった写真が動いて見えるような仕組みになっているのは知っていた。けれども、一般的なアニメーション作品は2コマ撮りといって、一秒間に流れる24枚の画像のうち、二枚を一画像で処理していることを、この本ではじめて知った。さらに、3コマ撮りといって、24枚中3枚にあたる部分を一画像で処理する方法を採用し、テレビアニメに先鞭をつけたのが、手塚治虫の虫プロダクションであったということも。 小学生の頃、学校から映画につれていってもらう映画鑑賞会のような行事があった。「文部省推薦」というコピーが必ず入った、ひたすら真面目で暗い映画が多かったのだが、中には、『白蛇伝』のように、子どもを魅惑する映画に出会うこともあった。大塚氏は、その頃から日本のアニメーション制作に携わる日本動画界の草分け的存在であり、今や押しも押されもしない宮崎駿や高畑勲と何本も仕事を共にしてきた僚友でもある。 手塚治虫が、マンガ家として成功しながらも、最後までアニメーションにこだわった事実は有名である。『鉄腕アトム』のテレビアニメ化は、商業主義との妥協の産物であり、セル画を省略したり(3コマ撮り)静止したり(止め)するという方法を多用することで週一回放映という事態を乗り切った不本意なものであった。一方で、それが、商売として成り立つアニメというものを多方面に認識させ、今日のアニメ隆盛の引き金になったことは皮肉である。 大塚氏は手塚の天才を認めながらも、手塚が一方で理想のアニメに憧れながら、それを成し遂げることが出来なかったのは、商業主義の所為でなく、彼がアニメ制作について無知だったからだという意外な事実を語っている。絵を動かすということは、考えているほど簡単なことではない。日本の動画制作の創生期を担った東映動画部スタッフの技術や努力をその目で見てきた氏の体験に即した叙述は説得力を持っている。 今や、アニメーションは日本が世界に対して発信することの出来る数少ない文化の一つである。しかし、果たしてその質が、それに見合うだけのものを持っているかといえば、この本を読んだ後では疑問が残る。「ジャパニメーション」と呼ばれる一群の作品の魅力の一部である限りなく実写に近い画面効果が、本来絵を「動かして見せる」アニメーションの代替物だとすれば、それは、アニメーションの語義である生気・活力からかえって遠ざかることになるのではないだろうか。
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