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ジャズと映画と仲間たち
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ジャズと映画と仲間たち

和田誠(著者), 猪腰弘之(著者)

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ジャズと映画と仲間たち

定価 ¥1,870

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2001/07/26
JAN 9784062108263

ジャズと映画と仲間たち

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2013/03/11

生まれつき、人をだますのが好きで仕方がない、それも悪意からではなく、座を盛り上げるために次から次へと、果てしもなく嘘を並べ立てる人がいるものだが、そんな人は映画の世界に身を置いたら、ひとかどの人物になれたのではなかろうか。そんなふうに思えてくるほど、映画の世界は作り事に溢れている...

生まれつき、人をだますのが好きで仕方がない、それも悪意からではなく、座を盛り上げるために次から次へと、果てしもなく嘘を並べ立てる人がいるものだが、そんな人は映画の世界に身を置いたら、ひとかどの人物になれたのではなかろうか。そんなふうに思えてくるほど、映画の世界は作り事に溢れている。一つの場面を、何カ所にも分けて撮影し、あたかも同じ場所であるかのように見せるなどというのは、どうやら日常茶飯らしい。もっとも、一つの場所で撮れたら苦労はないわけで、その撮影場所探しのロケハンのくだりは涙なくして読めない苦労の連続である。 『真夜中まで』という映画を作るまでの、助監督の猪腰による撮影日誌が中心になっているが、それ以外にも、俳優として演技もこなす本物のジャズマンたちの対談やシナリオ、監督その他スタッフたちの談話をまとめた一冊。映画そのものは未見だが、これを読んでから見ると、シナリオのあの部分は、どう撮られているのだろう、苦労して撮ったカットがこれか、などという思いで映画が数倍おもしろくなるだろう。 監督の和田誠は根っからのジャズファンで、ミュージシャン仲間に友人も多い。そして無類の映画好きで、映画に関する本も何冊も書いている。監督としての手腕は、『麻雀放浪記』等の映画で証明済みである。その和田が、何年も前からあたためていた企画で、本格的な役者として認められてから、アクションをやらなくなった真田広之にあてて自ら脚本を書いた、日活無国籍映画の雰囲気を漂わせるジャズとアクション満載の映画と聞いては見ないわけにはいかないだろう。 映画好きの和田のこと、ただのアクション映画にするわけがない。上映時間と劇中の時間が同時進行するというヒッチコックまがいの離れ業をやってみせる。プロット自体は単純で、クラブ出演中のジャズマンが、第一部と二部の間の休憩中にもめ事に巻き込まれ、二部の始まりの時間を気にしながら、悪漢に追われてヒロインと走りまわるというもの。主人公が時間通りに会場に着けるかどうか、観客はリアルタイムの時間進行とともにはらはらドキドキできるという仕掛けである。 もちろん、ジャズに関しては、本職のバンドマンに交じり、みっちり練習を積んだ真田がプロも太鼓判を押す熱演を繰り広げてみせる。劇中には『ラウンド・ミッドナイト』『ソー・ホワット』等の名曲が、ここぞという場面に挿入されている。真田たちが演奏するクラブの名前は「PHANTOM LADIES」。言わずと知れたウィリアム・アイリッシュの『幻の女』である。遊び心に溢れた日本初の本格的なジャズ映画が産声を上げるまでの裏話をじっくり楽しみたい。

Posted by ブクログ