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内田義彦セレクション(第4巻) 「日本」を考える
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 藤原書店/ |
発売年月日 | 2001/05/30 |
JAN | 9784894342347 |
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内田義彦セレクション(第4巻)
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日本の思想家たちにかんする著者の文章などを収録しています。 本書の冒頭に置かれているのは、森有正および木下順二との対談です。どちらも、木下の『夕鶴』の解釈がテーマとなっています。森は、ヨーロッパの思想の奥底にある「経験」を掘り下げることに努力を傾けた哲学者ですが、『夕鶴』のつう...
日本の思想家たちにかんする著者の文章などを収録しています。 本書の冒頭に置かれているのは、森有正および木下順二との対談です。どちらも、木下の『夕鶴』の解釈がテーマとなっています。森は、ヨーロッパの思想の奥底にある「経験」を掘り下げることに努力を傾けた哲学者ですが、『夕鶴』のつうのすがたに、ヨーロッパとは異なる日本のことばによって結晶化された精神性を見いだしています。内田はそうした森の見解を受けて、つうにおいて現実世界には存在しないにもかかわらず、われわれが魅かれていく「典型」としてとらえることができると主張しています。 つづいて日本の思想家たちについての考察がおこなわれており、中江兆民、森鴎外、田口卯吉、徳富蘇峰、河上肇らの思想が論じられています。そのなかでも、河上についての考察は、質量ともに他の思想家たちを圧倒しており、著者の傾倒のほどがうかがわれます。 河上は、日本におけるマルクス主義受容の劈頭に位置づけられる思想家ですが、かならずしも一直線にマルクス主義へ向かっていったわけではありません。そのたどたどしいあゆみを、彼のマルクス理解の不十分さに帰するのではなく、むしろ現にわれわれが生きている社会についての認識を深め、その社会のなかに身を置く人間についての認識を深めていくプロセスとして理解しようとするところに、著者の河上解釈の焦点があります。 たとえば河上の分業論は、もっぱら生産の機構をめぐる経済学的な観点からの考察にとどまっていたアダム・スミスとは異なり、経済学・社会学などの学問のありかたや、分業が根づいた社会における人間形成のありかたにまでその考察範囲がおよんでいます。こうした河上の関心のひろがりが、学問の世界と現実を往還しつつみずからの生きる社会についての認識を深めていくプロセスを重視した著者のスタイルに通じるように思われたのでしょう。
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