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敵国日本 太平洋戦争時、アメリカは日本をどう見たか? 刀水歴史全書61
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 刀水書房/ |
発売年月日 | 2001/09/10 |
JAN | 9784887082861 |
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敵国日本
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戦前に日本に駐在していたジャーナリストが真珠湾攻撃の後、2ヶ月程度で書き上げた、敵国:日本を分析し、アメリカ国民に広く紹介しようとするもの。当時アメリカ人が日本をどう思っていたのかを考えると差別と偏見と憎しみに基づく、黄色い猿・卑怯者・大国に楯突く愚かな連中ということだと思ってい...
戦前に日本に駐在していたジャーナリストが真珠湾攻撃の後、2ヶ月程度で書き上げた、敵国:日本を分析し、アメリカ国民に広く紹介しようとするもの。当時アメリカ人が日本をどう思っていたのかを考えると差別と偏見と憎しみに基づく、黄色い猿・卑怯者・大国に楯突く愚かな連中ということだと思っていたが、本書によるとそうでもないことがわかる。奇襲攻撃は日本のお家芸で、英米と一戦交えるならそれしかないだろうと理解を示していたり、奇襲の後は何も戦略がないので持久戦に持ち込めば必ず勝利できると考えていること、など。もう一つ衝撃的だったのはドイツやイタリアとの比較で、ヒトラーやムッソリーニなどの独裁者、あるいはナチスやファシストの党員を除けば、その他の国民は平和を望むし民主主義を理解するので心配ないだろうという考えがあるが、日本には独裁者もいなければ圧政を敷く政党もない。軍部の暴走が最大の要因だがそれを国民は許容し評価している向きさえある。つまり、東條をのぞいても将来同じことをする可能性がある、という認識。これがあるからこそ、一般人が死ぬとわかっていても大空襲をおこなったし原爆も投下したのかも。この本が意思決定の全てを左右したとは思わないが、ちょっと怖い。あと、中国に対する見方は当時は楽観的で蒋介石が追われるとは思っていなかった様子。このあたりも歴史の綾で興味深い。
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2001年(底本1942~43年)刊。 著者は戦前日本での駐在歴が長期にわたり、元「ジャパン・アドバタイザー」編集長、「ニューヨーク・タイムズ」などの記者を歴任。 なお、訳者内山秀夫は慶応義塾大学名誉教授、同増田修代は東京経済大学講師。 太平洋戦争開戦直後、アメリカにおいて敵国日本の分析書の一として刊行された二つの書を翻訳したものが本書。 確かに、細かい間違いや、内容の正誤に争いが出そうな部分もある(「対米戦争を仕掛けるくらいだから日本の石油備蓄量は2年であるわけがなく、もっと多いはず」という分析はご愛敬。過大評価に微苦笑してしまうのと、いかに日本政府・軍部の発想が稚拙さという意味で規格外だったことを想起できる)。 が、なかなかどうして的確な分析が短期間でまとめられていたなぁという印象だ。 開戦数か月しか経たない段階で、日本のシーレーン防衛に困難を来す分析は流石のそれ。 一方、1943年段階で戦争終結を見越した日本の制度改革の一端を開陳できているのも驚き。 著者は実はスパイ?。報道機関所属の記者による同一国の長期駐在は情報収集の要諦とも言えるが…。 どなたか、15年戦争期における日本政府・陸海軍による対米・対中分析を纏めた書を出してくれないかな。 個人的には、恐らく情報分析・研究では米には完敗だったと思う。けれど、その個人的な予想の正誤が明確にならないため。
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夜郎自大という言葉がある。漢の武帝が南方にある夜郎国を帰属させようとして、使者を派遣したところ、夜郎国の王が「夜郎国と漢とはどちらが大きいか」と使者に尋ねたという。漢の郡にも及ばない国土しか持たない王が、自国を大国と思い込んでいる愚かさを嘲笑して言ったことに始まる故事成語である。...
夜郎自大という言葉がある。漢の武帝が南方にある夜郎国を帰属させようとして、使者を派遣したところ、夜郎国の王が「夜郎国と漢とはどちらが大きいか」と使者に尋ねたという。漢の郡にも及ばない国土しか持たない王が、自国を大国と思い込んでいる愚かさを嘲笑して言ったことに始まる故事成語である。 日本という国について考えるとき、苦々しくも情けない気持ちとともに、この言葉をいつも思い出す。日本人ほど、日本人論や日本論が好きな国民はないといわれるが、自分の国や民族について語ったり読んだりすることは好きでも、世界の中に、日本や日本人を置いてみることは、あまり好きではないようだ。教科書問題が起きるたびに、あらためて世界の反発を受け、そのたび驚きながら、いっこうに認識を改めようとはしない。 『敵国日本』は、太平洋戦争が始まるや1942年にアメリカで出版され、数十万部の売れ行きを示した本である。著者は「ニューヨーク・タイムズ」、「タイムズ」二紙の特派員として、28年間も日本に住み、米英に日本を紹介していた当時としては数少ない知日派の記者であった。日本に長く住み、第三者の目から日本という国を観察してきたその視線は、戦時下においても冷静かつ客観的であり、現在の時点で読んでもみごとな日本人論になっている。 日本の議会が形ばかりで、本来の機能を発揮しないでいることや、軍部の力が強大化するに至った経緯、またヒトラーとは異なる天皇という権力者の独特な位相について、著者の論理は明晰である。日本の無条件降伏、武装解除、リベラル派による新しい政権樹立と、敗戦後を予想したかのような記述は、著者の読みの方向性の確かさを明らかにしている。 実は開戦当時、この本は日本に入ってきていた。天皇の側近は内容を重く見て、急ぎ訳し謄写版刷りの抄本を回覧していたという。それが、憲兵の知るところとなり、没収され、日の目を見ることがなくなってしまったのはいかにも惜しい。相手国が自国のことをこれほど理解していることを、関係者が知っていれば、その後の事態の推移に影響を与えることができたかもしれないものを。 敵も知らず、己についてもよく知ることのなかった日本が敗れるのは理の当然であった、と今さらながらに思う。それでは、戦後の日本は著者が願うような方向で世界の中に名誉ある位置を得たかと言えば、否と言わざるを得ない。武力で敗れた後は経済力で、世界の中に躍り出たのも束の間。今は、すっかり自信をなくしてしまっている。そして、悪夢のように繰り返される自国中心史観のむし返し。 本の中で日本人は巣箱の中のミツバチと評されている。個人の意志よりも強い巣箱の精神に従うからだ。現内閣の実力に不釣り合いな人気の高さを見るにつけ、巣箱に縛りつけられる同胞の多さに戦前戦後を貫く棒の如きものを見る思いが強い。夜郎自大の誹りを受けたくなければ、くもりのない眼で、世界と自分たちを凝視するよりほかはない。そのとき、この本は明るい視界を得るための手助けをしてくれることだろう。
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