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絶後の記録 広島原子爆弾の手記 中公文庫 20世紀
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絶後の記録 広島原子爆弾の手記 中公文庫 20世紀

小倉豊文(著者)

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絶後の記録 広島原子爆弾の手記 中公文庫 20世紀

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社/
発売年月日 2001/08/25
JAN 9784122038868

絶後の記録

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商品レビュー

3.5

2件のお客様レビュー

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2010/05/28

原爆投下直後の惨状の…

原爆投下直後の惨状の描写が生々しく、読んでいてつらかったです。また原爆症での死に方も本当に悲惨、むごい。もう少し早く戦争を終結させておればと思い残念です。

文庫OFF

2024/05/06

恐らくそれを体験した者は、瞬間何があったかも解らず、ただ自分の近い場所で爆弾が炸裂したか、遠方から放たれた至近弾を喰らったか、火薬庫が爆発したかの様な感覚であったのだろう。誰しも広島に巨大な悪魔の様な新型爆弾が投下された等とは考えられなかったはずだ。そして激しい閃光に続いてやって...

恐らくそれを体験した者は、瞬間何があったかも解らず、ただ自分の近い場所で爆弾が炸裂したか、遠方から放たれた至近弾を喰らったか、火薬庫が爆発したかの様な感覚であったのだろう。誰しも広島に巨大な悪魔の様な新型爆弾が投下された等とは考えられなかったはずだ。そして激しい閃光に続いてやって来る凄まじい爆音と爆風。身体は熱に焼かれ吹き飛ばされ叩きつけられた後、吹き飛んだガラス片が霧吹きの様に身体中に刺さる。辺りが鎮まり変えれば空気も音もなくただ黒い世界が目の前に拡がる。やがて押し寄せる業火と生への執念に駆られどちらともなく逃げ惑う人々。自身の姿がどの様なものか、どれほどの痛みか、吹き飛んだ眼球をぶら下げ、爛れた皮膚を引き摺り、破れた腹からは腸がこぼれ落ちる。正に地獄絵図そのものの世界。 初めて私が広島を訪れたのは社会人になってからだったか。爆心地に近い原爆ドームや平和公園あたりを彷徨きながら、その日もかなり暑い日だった事を記憶している。小学生の時に図書室で何度も読み直した「はだしのゲン」。読んだ日以降は暫く白いご飯は食べれなくなった事を今でもよく覚えている。それらは現在の私の平和への絶対的な誓いを揺るぎないものにしたし、その後物心ついた頃には、人は何故それでも戦争をするのだ、戦争をやめられないのかと、私が読書の道にのめり込み、生涯脱出できないであろう迷宮を彷徨う原因になったのは間違いない。今もニュースでイスラエルのガザ侵攻やロシアのウクライナ侵攻が流れている。永久に見つからない答え。 本書は筆者が妻に送った手紙の体裁をとり、原爆投下後の広島の惨状を世界に伝えるきっかけとなった本だろう。当時大学の教員としてその目で見た真実をただありありと思うがままに表現し、文字にして私たちにぶつけて来る。被爆直後から1946年あたりにかけて書かれたこの手紙は書籍となりGHQの検問でも殆ど原文のままで世に出たそうだ。なおその理由についてはあとがきに書かれているが、読み進めながら大半の読者は理解できるだろう。そしてそれに対する疑問や反論も恐らくは生まれないかもしれない。何故ならそれは「体験した」筆者の考えであり、私たちの大半は「体験していない」からだ。家族を1発の爆弾で、業火で、原爆症で奪われた様々な人々の様々な意見があるが、本書もその中の一つの考え方である。少なくとも私は否定できない。 それ以上に文字から伝わって来る迫力、悲しみ、絶望と最後に訪れる無心が読者の心を鋭く抉ってくる。とても耐えられないと目を背け、頁を閉じる事も出来るが、私は読み続ける。何故ならそれが平和を願う気持ちを、また新たに強くさせるからだと、読みながら感じ続けた。 本書に登場する様々なシーンが目を閉じれば目の前に拡がり苦しくなる。妻と子供を探しながら歩き回る地面は熱く、焼け爛れた人間で埋め尽くされ、私の足にもグニャッとした鈍い感覚が伝わって来る。だがそれに気をかけてる余裕などなく、ある意味感情の限界を超えて歩き続ける筆者。そして再会と別れ。新たな世界への決意といった多くの想いが洪水の様に私を飲み込んでいく様だった。ただ悲しさに暮れるのではなく、そこから新しい一歩を踏み出そうとする筆者。そうした沢山の想いが積み重なって生まれた現在の広島という都市。何も考えずにこの街を歩くのは難しい。暑さで滴る汗を拭う事もなく沢山の写真を撮り続けた事を記憶している。 既に被爆者の多くはこの世を去ったであろうが、新たな世代がITを駆使して当時を甦らせる取り組みも進んできた。記憶が消える時は再び戦禍が訪れる。この悲劇を繰り返し後世に伝えていく事が現代を生きる、そして唯一の被爆国である我々日本人の使命なのではないかと思う。ありがちな意見ではあるが、当たり前にしなければならないと決意させる書籍である。

Posted by ブクログ

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