1,800円以上の注文で送料無料

ジョン・ランプリエールの辞書 海外文学セレクション
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍

ジョン・ランプリエールの辞書 海外文学セレクション

ローレンス・ノーフォーク(著者), 青木純子(訳者)

追加する に追加する

ジョン・ランプリエールの辞書 海外文学セレクション

定価 ¥5,500

220 定価より5,280円(96%)おトク

獲得ポイント2P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社/
発売年月日 2000/03/25
JAN 9784488016289

ジョン・ランプリエールの辞書

¥220

商品レビュー

3.5

9件のお客様レビュー

レビューを投稿

2014/07/25

ロンドンの地底に延びる地下通路、ヴォーカンソンの自動人形、人知れず地中海を航行する沈んだはずの三本マストの帆船。トマス・ピンチョンを思わせる道具立てに、エーコばりのギリシア神話に関する薀蓄を満載した歴史バロック・ミステリという触れ込みに、まずは舌なめずりさせられる読者は多いはず。...

ロンドンの地底に延びる地下通路、ヴォーカンソンの自動人形、人知れず地中海を航行する沈んだはずの三本マストの帆船。トマス・ピンチョンを思わせる道具立てに、エーコばりのギリシア神話に関する薀蓄を満載した歴史バロック・ミステリという触れ込みに、まずは舌なめずりさせられる読者は多いはず。 表題になっている、ジョン・ランプリエールの辞書は実在する(解説によればキーツの愛読書だったという)。ヘイマーケットのオペラハウスの炎上、フィールディングの弟で盲目の名判事サー・ジョンの活躍といった英国史上に残る様々な資料を調べ上げ、嘘八百を並べ立てた奇想天外なストーリーの要所要所に配して、さもそれらが事実であったかのように見せかける小説的詐術は、文学史上に名を残す先達の後塵を拝したもの。エーコやピンチョンの格調の高さには及びもつかないものの、そのパスティーシュと考えるならまあまあの出来といえる。 フランス西部の沖に浮かぶジャージー島。そこに暮らすランプリエール一族には積年の恨みがあった。密貿易の拠点として巨万の富を隠匿していたラ・ロシェルがユグノー教徒の巣としてフランス軍の攻撃を受けて孤立していたとき、独り曽祖父のフランソワが密命を帯び、英国の救援を求めるため島を出た。しかし、英国艦隊は島に近づけず、島民は全滅した。フランソワの仲間である密貿易グループは島民を見捨てて脱出。フランソワの家族は全員滅亡を遂げる。 ランプリエールの子孫は、一族の復讐を果たすため、密貿易の秘密を暴こうとするも、その都度阻止され、当主は暗殺されてきた。時はフランス革命を目前に控えた1788年、革命にかかる費用を密輸で捻出するという密約がユグノー教徒の一団と<カバラ>と称する密貿易グループとの間に交わされていた。そんな時、父チャールズの急死により遺産を相続することになった青年学士ジョンは、相続手続のためロンドンに到着する。 フランソワが貴族とかわした覚書にある相続されるべき莫大な遺産とは何か。折りしも、地中海を東に移動する鯨の背に乗り、座礁して海の藻屑と消えたはずの船が名前を変え、テムズを遡上しロンドンに現われた。史上に名高い「ラ・ロシェルの包囲」に端を発した因縁の対決は、ジョンの登場により大団円に向かって一気に加速する。 ギリシアの古典籍に詳しいジョンは、本で読んだものが可視化するという異様な想像力に悩まされていた。恋するジュリエットの水浴するところを覗き見たジョンの身代わりのように、近くにいた父は犬に噛まれて死んでしまう。有名なディアナの水浴のモチーフが具現化してしまったのだ。ロンドンで知り合ったセプティマスはジョンの気を紛らわすために辞書を書くことを勧める。Aから始まった辞書が完成に近づくにつれ、ダナエのように黄金の雨に打たれて死ぬ女や、山羊の屍骸にくるまれて殺される女、とギリシア神話の見立て殺人が続く。 陰惨な殺人劇の間には、老人ばかりの水夫による海賊船の活躍やら人造石でできた亀の彫刻がオペラ座の屋根を飾る話やら、スラップスティック仕立てのドタバタ劇が果てしもなく増殖し、最後は一気呵成にカタストロフへと爆走する。この辺の勢いはまさにジェット・コースター・ムービーの乗りで楽しませる。ロンドンの地下に巨大生物の化石が眠り、結晶化した動脈が地下通路と化し、心臓部が秘密のアジトになっているという設定なぞはばかばかしいが、縦横に走る通路にテムズの水が浸水し、とんでもない一大スペクタクルが現出する場面などは、ハリウッドの超大作を見るような心地がする。 ストーリー自体は、「ラ・ロシェルの包囲」に始まり、フランス革命に至るユグノー教徒とカトリックの戦いに英国と東インド会社によるインド貿易の独占による巨額の富をからませ、不幸な生い立ちの美女と、一族の運命を背負った気弱な学士の恋愛をスパイスにきかせた、ある一族の復讐譚と、一応は括れる。ディケンズを髣髴させるロンドン市街の活況を子細に描く情景描写や、帆船が大好きという作者の趣味が横溢した海洋冒険小説風の海や船に関する叙述、と読みどころは多い。個人的には、クロウズ・ネスト(檣上見張座)と名づけた屋根裏部屋に住み、四方に開けた窓からテムズを出入りする船舶を監視するのを習慣にしている引退したキャプテン・エビニーザ・ガーディアンが、作者の思い入れが感じられてお気に入りである。難しいことは言わず、一昔前の小説を読むつもりでつきあえば充分楽しませてくれるはずである。

Posted by ブクログ

2010/06/26

[ 内容 ] 18世紀、ジャージー島、子爵家の美少女ジュリエットの水浴姿を見てしまったジョンの父は、猟犬にズタズタに噛み殺される。 まるでディアナの水浴姿を覗き見たために八つ裂きにされたアクタイオンのように。 遺産相続手続きのために、ロンドンに赴いた青年ジョンは、神経症の療法とし...

[ 内容 ] 18世紀、ジャージー島、子爵家の美少女ジュリエットの水浴姿を見てしまったジョンの父は、猟犬にズタズタに噛み殺される。 まるでディアナの水浴姿を覗き見たために八つ裂きにされたアクタイオンのように。 遺産相続手続きのために、ロンドンに赴いた青年ジョンは、神経症の療法として固有名詞辞典の執筆を始めた。 ロンドンの地下に潜む秘密組織“カバラ”とは? かつて航行中に消息を絶った帆船の謎とは? ユグノー弾圧の最終頁ともいえるラ・ロシェルの包囲戦の持つ意味は? 暗躍するインド人の殺し屋の正体は? そしてジュリエットとジョンの恋の行方は? 壮大な謎に満ちた大バロック歴史小説。 サマセット・モーム賞受賞作。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted by ブクログ

2009/11/26

シリーズ名 海外文学セレクション 注記 原タイトル: Lempriere's dictionary. ISBN 4-488-01628-6 入手条件・定価 5000円 全国書誌番号 20048475 個人著者標...

シリーズ名 海外文学セレクション 注記 原タイトル: Lempriere's dictionary. ISBN 4-488-01628-6 入手条件・定価 5000円 全国書誌番号 20048475 個人著者標目 Norfolk,Lawrence (1963-) 個人著者標目 青木, 純子 (1954-)∥アオキ,ジュンコ NDLC KS165 NDC(9) 933.7 本文の言語コード jpn: 日本語 書誌ID 000002873407

Posted by ブクログ

関連ワードから探す

関連商品

同じジャンルのおすすめ商品

最近チェックした商品