母なる風の教え

ベアハート(著者), モリーラーキン(著者), 児玉敦子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 講談社/
• 発売年月日: 2000/12/05
• JAN: 9784062087735

商品レビュー

2017/06/11

ネイティヴインディアンであるベア・ハートの本には、祈りや癒し、いかに生きるべきかが書いてある。一ヶ月以上かけて読んだ本に、地球の裏側にいる人の広大な心を受け取れたことが嬉しい。
想起したことは、10歳の自分の姿だった。

肉親のためだけに毎朝祈る10歳の私が今でも見える。
私の祈りは何の効果もなかった。そこにはただ縋る思いだけがあった。自分が救われたいという思いは一切なかった。それはいつの間にか癖になっていた。救急車とすれ違う時もそこに乗る人の無事を祈るようになっていた。

私にはまだ、その時の純粋さが小さく残っている。嫌いな人や私を傷つけた人に対してもその無事を祈る。その人を好きにならないし、傷つけられた事に対して許す必要もない。でも人としてこの世に存在し悲しみや喜びを感じる心は私と同じ、という事のみ、ただそれだけの理由でその人の幸せを祈る。

生きることに理由はないが、生きているならば、こういうことを考えて生きていこう、そう感じた本だ。自然への愛情、動物や人への愛情、許すこと、、、

2007/03/03

　ベア・ハートはネイティブ・アメリカンの部族の一つであるクリーク族のメディスンマンで彼自身の思想やネイティブ・アメリカンに古くから伝わる智慧や教えをこの本で述べている。人がより美しく心豊かな人生を歩むためには？囚われた心から解放されるには？バランスの取れた健康的な生き方をするには?己を知るということはどういうことなのか？そのためにはどうしたらよいのか？などといった今の僕の知りたいことがたくさん書かれていた。

　彼の実体験を交えた話はわかりやすくメディスンマンとして生きるに必要な姿勢なども述べられていてこれまでローリングサンダー、フールズクロウ、レイムディアーなど他のメディスンマンから学んだ以外のこともまた多く学べたと思う。あとは読書したことを身をもって体験して本当に“知った”ことにしていくだけだ。

　最後に心に残る言葉をもう少しだけ。
　「土地や環境を愛で慈しむことができれば、この世を去った後にも、自分たちの後に続く者のためになにかしら確かで美しいものを残すことができるのではないだろうか？私たちが今ここに存在するのは、若い世代が前向きに強く創造的に育っていくための、確固たる礎を築くためなのではないだろうか」

　「最良の方法は、若い世代にどう生きて欲しいかを自らの生き方を通して示すことである。私達の行動はそれ自体が多くを語ってくれる」

　「メモリアルという言葉は、誰かが死んだことを示すものではない。誰かが生きていたことを象徴するものだ。あなたが去った後に、メモリアルとして遺すものは何になるのか？わたしはなにを遺すのか？わたしたちは今なぜここにいるのか？何かを加え、作り出し、守るためにいるのである。これからこの世に生まれてくる小さき者たちに、なにか良きものを遺してあげるために。その思いを胸に深く刻み込み、『わたしはこのためにここにいる。このために生きている』のだと自分に言い聞かせてみよう」

　タンポポコーヒーを飲みながら静かな昼の時間に記す。