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あら皮 欲望の哲学 バルザック「人間喜劇」セレクション第10巻
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 藤原書店 |
| 発売年月日 | 2000/03/30 |
| JAN | 9784894341708 |
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あら皮
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商品レビュー
4.3
8件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
バルザックの『あら皮』は一見、若者の破滅的な欲望の物語として読める。しかし、クロウリーが「壮大な魔術寓話」と評価したように、その深層には魔術的世界観に基づく人間存在の本質的な問題が描き込まれている。物語の中心にあるのは、願いを叶える代わりに持ち主の生命力を消耗していく魔術的な皮革という存在だ。 アンティーク・ショップという空間は、単なる骨董品店としてではなく、現実と異界の境界領域として機能する。店主である老人は、単なる商人ではない。彼は主人公ラファエルに皮革の性質を説明する際、カバラや古代の叡智に言及する。この老人は、世俗的な世界と魔術的な世界を媒介する存在として描かれる。 あら皮(驢馬の皮)自体が深い象徴性を持つ。それは願望を実現する力を持つが、同時にその代償として収縮していく。この収縮は単なる物理的な現象ではない。それは生命力の消耗を可視化する魔術的な装置として機能する。注目すべきは、この皮革が「意志」と「生命力」の直接的な関係を体現していることだ。欲望の実現は、必然的に生命の消耗をもたらす。 タリスマンとしての皮革は、錬金術的な意味も持つ。それは単なる魔術的道具ではなく、願望と生命力の等価性を示す象徴として機能する。錬金術において、変容は常に代償を必要とする。あら皮は、この錬金術的な原理を極めて具体的な形で表現している。 『あら皮』の特異性は、同時代の魔術文学との比較においてより鮮明になる。ブルワー・リットンの『ザノーニ』(1842年)が不死の秘教師による積極的なイニシエーションの物語であるのに対し、『あら皮』(1831年)は魔術的力との出会いがもたらす破滅的な結末を描く。両者は魔術的な力の異なる側面を照射している。 メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』(1818年)との比較も示唆的だ。両作品とも近代科学への懐疑を含むが、その表現方法は対照的である。フランケンシュタインが科学的な生命創造の過程を描くのに対し、『あら皮』は生命力の消耗という逆のプロセスに注目する。科学と魔術の関係も、『フランケンシュタイン』では両者の境界が曖昧になるのに対し、『あら皮』ではより明確な対立として描かれる。 特に注目すべきは、『あら皮』における「契約」のモチーフだ。これはゲーテの『ファウスト』(第一部1808年)との比較を促す。しかし、メフィストフェレスとの契約が魂の売却を含むのに対し、『あら皮』の契約はより即物的だ。願望の実現と生命力の消耗という直接的な等価交換が示される。 同時代のオカルト復興との関係も重要だ。エリファス・レヴィの著作(1850-60年代)に代表される19世紀の魔術理論は、意志の力を重視する。『あら皮』は、この意志の力の両義性をより早い時期に予見的に描いている。意志による現実の変容が、同時に自己破壊的な結果をもたらすという逆説を提示するのだ。 最も特徴的なのは、『あら皮』における魔術的な力の「可視化」だ。同時代の多くの作品が魔術的な力を不可視の影響として描くのに対し、『あら皮』は皮革の収縮という具体的な形で、その作用を可視化する。これは魔術的な力の働きをより直接的に提示する独自の手法となっている。 このように『あら皮』は、19世紀の魔術文学の中でも独特の位置を占めている。それは秘教的イニシエーションでもなく、純粋な幻想でもなく、また単なる科学批判でもない。むしろ、魔術的な力の物質性と、その力が人間存在に及ぼす具体的な影響を描く、独自の魔術的リアリズムとでも呼ぶべき作品なのである。
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この作品は欲望がすべて叶うとわかった瞬間、人生が一変し、欲望が叶う度に残りの命が減っていくという運命を背負ってしまった青年の物語です。 私がこの作品を読んで真っ先に思い浮かんだのはブッダの生涯のとある話でした。まるで仏教説話のような物語です。
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『あら皮』1830-31年・・・哲学的研究 ラファエル・ド・ヴァランタンという青年が自殺しようとセーヌ河岸を彷徨っていたが、身投げにはまだ日が高くそれまでの時間を潰すために一軒の古物商の店に入った。 そこで、ラファエルは店主から一枚のあら皮を譲り受ける。 そのあら皮を持っている者は、望みをすべて叶えることができるが、そのかわり、命が縮まっていくという。あら皮もそれにあわせて縮んでいき自分の余命をその皮によってみることができるらしい。 半信半疑のまま、ラファエルはそのあら皮の所有者となる。 あら皮を手にしてから、ラファエルの望みは次々と叶った。 彼が自殺をしようと思い詰めたのは、フェドラというパリの社交界の華の公爵夫人にふられ、経済的にもいよいよ窮したためだったが、伯父の遺産が転がり込み、パリでも一、ニを争うような邸宅を建て、高額の年金までも月々受け取る身分になった。 それは、金持ちになることをラファエルが望んだからなのか、あら皮は確実に縮んでいく。 この不思議な護符に恐ろしさを感じるラファエルだったが、貧しい日々を送っていたときの下宿先の娘ポリーヌと再会する。 ポリーヌとは心を通わせていたが、フェドラにいれあげてる時には純粋な貧しいこの娘との愛は深入りすることはなかった。ポリーヌも帰国した父が財産を築いていたため裕福な家の娘となり、かわらずラファエルを愛しているという。 ポリーヌとラファエルは結ばれ、幸せの絶頂にいたが、あら皮は小さく小さく縮み、ラファエルも健康を害していった。 あら皮をなんとか大きくしようと手を尽くしてみたが、あら皮は火の中に放りこんでもビクともしないのだった。 医者を何人も呼び治療にあたったが、ラファエルの衰弱をとめることはできず、ついに死んでしまう。 この類のストーリーは、現代ではそんなにも珍しいものではない。TVのショートストーリーでも似たような話を見た記憶があるし、ファンタジー系の本にも不思議なものを手に入れた主人公がさまざまなことに遭遇したりなど。 しかし、それらは、バルザックのエピゴーネンにすぎないようにも感じ、この『あら皮』ほどの完成度を持つことはないだろう。 『あら皮』は1830年から31年に書かれたものだが、爆発的に売れ、バルザックは一躍読書界の寵児となった。 バルザックの生前だけで『あら皮』は15年の間に7たび版を重ね死後も世界中で版を重ねる小説となっている。 訳のことがあるにしても、バルザックのくどすぎるともいえる描写は相変わらずで、決して読みやすい小説ではなくその難解さを超越して大衆に国内外で人気を得たのも『あら皮』のストーリーの斬新さと作品の完成度にあると思える。 これまた人気作品となった『ペール・ゴリオ(ゴリオ爺さん)』は1834年に書かれているが、『ペール・ゴリオ』の主人公であるラスティニャックを早くも『あら皮』に登場させている。 また、同じく『ペール・ゴリオ』ほかたくさんのバルザック作品に登場する医者のビアンションも出てくる。 上にバルザックは難解と書いたが、難解ではなく、バルザックの丹念な状況描写、人物描写に精魂こめてつきあうのがちょっぴり疲れる部分もあるものの、だんだん慣れてくるとバルザック的読書術というものも取得していくものである。(笑) --------------------------------------------------------------------------------- ■小説89篇と総序を加えた90篇がバルザックの「人間喜劇」の著作とされる。 ■分類 ・風俗研究 (私生活情景、地方生活情景、パリ生活情景、政治生活情景、軍隊生活情景、田園生活情景) ・哲学的研究 ・分析的研究 ■真白読了 『ふくろう党』+『ゴリオ爺さん』+『谷間の百合』+『ウジェニー・グランデ』+『Z・マルカス』+『知られざる傑作』+『砂漠の灼熱』+『エル・ヴェルデュゴ』+『恐怖政治の一挿話』+『ことづて』+『柘榴屋敷』+『セザール・ビロトー』+『戦をやめたメルモット(神と和解したメルモス)』+『偽りの愛人』+『シャベール大佐』+『ソーの舞踏会』+『サラジーヌ』+『不老長寿の霊薬』+『追放者』+『あら皮』+『総序』 計21篇
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