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一銭五厘たちの横丁 岩波現代文庫 社会12
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
発売年月日 | 2000/04/14 |
JAN | 9784006030124 |
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一銭五厘たちの横丁
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一銭五厘たちの横丁
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「一銭五厘」とは太平洋戦争当時のハガキ料金のこと。転じて召集令状(いわゆる赤紙)のことを指している。実際には。召集令状は郵便ではなく、役場の兵事係が直接手渡していた。 東京大空襲で焼け残った質屋の蔵から99枚の写真のネガが見つかった。太平洋戦争中、出征軍人に銃後を守る家族の...
「一銭五厘」とは太平洋戦争当時のハガキ料金のこと。転じて召集令状(いわゆる赤紙)のことを指している。実際には。召集令状は郵便ではなく、役場の兵事係が直接手渡していた。 東京大空襲で焼け残った質屋の蔵から99枚の写真のネガが見つかった。太平洋戦争中、出征軍人に銃後を守る家族の写真を送るという撮影会が在郷軍人会によって開催された。昭和18年の東京の下町(いまの台東区あたり)で、兵士へ送るために桑原甲子雄さんが撮った家族の写真がそれである。写っている家族は当然ながら、年配の人(兵士の親)、女子供(同妻、兄弟姉妹、子)がほとんどである。 昭和48年からルポライターの児玉隆也さんは、ネガから新たにプリントした写真を手に写っている人たちの消息を訪ね歩く。不明の写真も多いのだが、訪ね当てた人たちからは、当時の様子やその後の人生の歩みを聞いている。 本が出版された昭和50年からは、既に半世紀近くも経とうとしている。昭和20年から昭和48年までよりも、昭和48年から現在までの歳月のほうが長くなっているのだ。いわば昔の人が語る昔話を聞いているような感覚に陥る。ここで語られている当時の人々の言葉は、現代とはいささか異なった精神性や思考のものとの印象を受ける。 笑いあり涙ありのエピソードや、戦死した方、復員した方の話もある中で、戦中だけでなく戦前、前後も生活が大変だったという話も多い。 「一銭五厘たち」と称される「天皇から一番遠くに住んだ人々」の暮らしぶりが描かれており、戦争で犠牲になるのは、一般庶民だということがよくわかる。このような写真は二度と存在してほしくない。 作者の死後(38歳没)に、第23回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。
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昭和18年の東京下町(いまの三ノ輪や竜泉界隈)で、出征兵士へ送るために桑原さんが撮った留守家族の写真を手に、児玉さん(たち)が昭和48年に写真に写っている人たちを訪ねる。結局は不詳のままの写真も多いけれど、訪ね当てた人たちからは当時の様子やその後の人生を聞いている。 撮影時から3...
昭和18年の東京下町(いまの三ノ輪や竜泉界隈)で、出征兵士へ送るために桑原さんが撮った留守家族の写真を手に、児玉さん(たち)が昭和48年に写真に写っている人たちを訪ねる。結局は不詳のままの写真も多いけれど、訪ね当てた人たちからは当時の様子やその後の人生を聞いている。 撮影時から30年たっている昭和48年は、いまから半世紀近くも前。昭和48年からいまへの時間のほうが長いから、昭和48年当時の人々のことばは現代のようでいて現代ではない精神や価値観で語られている感じがする。むしろ、戦中から昭和48年のほうがつながりがあるよう。昭和18年に25歳だった人は、昭和48年にはまだ55歳なのだから当然なのかもしれないけれど、机上の話では戦中は過酷で悲惨ってことになっているけど、横丁の人たちの暮らしぶりを聞くに、戦中も戦後も大して変わらない印象だったり、戦後のある時期のほうが大変そうにすら思えたりもする。庶民の暮らしってそんなもんじゃなかろうか。 人々のことば以上に、収載されている写真の数々が雄弁。いろんなものが伝わってくるような気がする。戦争は大変だといっても笑顔で写るくらいの心の余裕はあったりするし、子どもたちの一張羅であろう外套とか洋装のデザインのおしゃれなこと。顔つきや着物の着こなしを見ると、いまと全然ちがう。昭和18年がどうだったというより、昭和18年-昭和48年―2021年という3つの時代の隔世感に思うところ多し。
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人それぞれの戦争と戦後。だがあまり暗くならずに読めた。写真の持つリアリティ。文章からも人が浮かび上がる。いい本だった。ページ折りまくり。
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