私はどこから来たのか 母と娘のユダヤ物語

ヘレンエプスタイン(著者), 森丘道(訳者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社/
• 発売年月日: 2000/11/30
• JAN: 9784309223650

商品レビュー

2015/10/28

16世紀には、チェコ・ユダヤ人はチェコ語を話、学問研究の中心として全世界のユダヤ人コミュニティの中でも重きをなし、印刷業者、ガラス細工職人、金銀細工職人、それに音楽師のユダヤ人ギルドが結成されていて、ほかでは見られぬ都市生活者としての繁栄を誇っていた。しかし19世紀の末になると、ほとんどのユダヤ人が話しているのはドイツ語であり、ユダヤ教徒としての生活が研究対象とされるほど、その文化はドイツの文化と同化していた。旧プラハで「都市再整備」とでもいうべきことが行われた際、ユダヤ人ゲットーは「衛生化され」、そこにあたいくつものシナゴーグが取り壊しの憂き目にあった。第二次世界大戦が終結すると、ユダヤ人コミュニティのな感は、ホロコーストは、ユダヤ教の教えに背き、遵守すべきユダヤの伝統を尊ばなかったことへの神罰だったの、と子供に教える者たちも現れた。大戦前のチェコ・ユダヤ人コミュニティに豊に花開き、長い伝統を誇っていた学問研究の世界は、大戦後は跡形もなく消滅した。ナチスのユダヤ人抹消政策にとってかわったのは、続いて政権を握った共産主義国家による、ユダヤ人を資本主義、帝国主義、そして「西側の腐敗」の象徴とみなして告発排斥する政策だった 。