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ロングパス サッカー誕生から英国プレミアリーグまで
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 2000/07/15 |
JAN | 9784104384013 |
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ロングパス
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胸騒ぎのフィールド 小雨がこやみなく降り続く、代々木の国立競技場で、ぼくは日本のオリンピック代表の対モロッコのシドニー直前壮行試合を観戦していた。ヒデが、俊輔が、明神が、稲本が、闇の中で鮮やかな緑色に浮き上がるフィールドを走り回っていた。ぼくは雨よけのかっぱの中で熱くなっていた。...
胸騒ぎのフィールド 小雨がこやみなく降り続く、代々木の国立競技場で、ぼくは日本のオリンピック代表の対モロッコのシドニー直前壮行試合を観戦していた。ヒデが、俊輔が、明神が、稲本が、闇の中で鮮やかな緑色に浮き上がるフィールドを走り回っていた。ぼくは雨よけのかっぱの中で熱くなっていた。隣では地元クラブでボランチをやっている小学生の息子が叫んでいる。何故、サッカーはここまでぼくたちの心を揺さぶるのだろうか。 居間の本棚もサッカーの本で一杯になった。子供の頃のメキシコオリンピックの銅メダルの記憶はあるものの、ぼくにとってのサッカーはJリーグとともにやってきたここ10年の現象だ。サッカーがこんなに好きになったのは何故なんだろう。当然、比較対象は野球だ。野球への興味はどんどん失せている。悪くはないが、燃えないし、野球の本を読みまくるなどという知的関心にまでは広がっていかない。 理由は、サッカーが世界につながっているのに対して、野球がいい意味でも悪い意味でも国内のロジックの中にあることなのだろう。オリンピック、ワールドカップ、トヨタカップ、欧州選手権と、サッカーという戦いは世界的な交通の中にある。そういった世界性を体現したぼくたちのヒーロー、Nakata. 現実の世界に立ち戻った時、ぼくたちは日本をもう一度世界へとつなぎなおす努力を余儀なくされている。その意味で、サッカーはぼくたちの生きる上でのモデルでもある。 「サッカーは面白い。サッカーはひとつの文化であり、世界言語である。」 この本は林信吾というジャーナリストが、サッカーの母国のイングランドが、何故、伝統の攻撃的なロングパス戦法を捨てたのかという疑問を胸に、イギリスを訪れるスポーツルポルタージュだ。 《イングランドの芝は成長が早くて、しかも固い。このため、地面を転がるようなボールを蹴るには不向きで、どうしても高く遠く蹴ることになる。/味方選手の足許にパスを蹴るのではなく、攻撃の基点となるべき位置にボールを蹴り、落下点めがけて殺到する「キックアンドラッシュ」戦法が生まれたのである。》 イングランドで生まれたゲームが、大英帝国の世界制覇の過程で、欧州や南米の港町に伝えられて、世界化していくプロセスも興味深く書かれている。また後半のフーリガンからサッカーのビッグビジネス化へいたる過程は、イギリス社会のいまを見事に切り出しているだけでなく、世界のサッカーあるいは社会全体の未来へのある種の予感まで含んでいてエキサイティングだ。 日本のサッカーに欠けていることをやたらあげつらう発言が多い。でも日本のサッカーは始まってたかだか10年だ。ぼくらは、むしろこんな短期間で、サッカーの選手やサポーターが達成したものの大きさに驚き、感激すべきなんだろう。日本が限りなく強くなることを切望しながら、作者が最後に書き入れるこんなメッセージには心から共感する。 《今の大多数の日本人に賛同してもらえるかどうかは分からないけれども、勝敗よりも、最後まで統制を崩さずフェアに闘う。ゲームとしての「美しさ」にこだわって欲しいのである。/日本代表のサポーター達は、たとえ日本が負けても、勝者にエールを送り、試合会場のゴミ拾いをしてから帰る。/我々日本人の手で、伝統を越えた新たなるサッカーの美学を世界に示し、次世代のファンに引き継ぐ。》 夢物語ではない。
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