そうだ！社長になろう 女ひとりのベンチャー起業

斎藤聖美(著者)

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋/
• 発売年月日: 2000/06/20
• JAN: 9784163562803

商品レビュー

2014/01/19

ジャック・ウェルチの本の訳があまりに素晴らしくて、手に取った本。
進路をかんがえていた時期ともたまたまタイミングが合って、参考になりました。
やはり起業する人のパワーは半端ないってことね。公私ともにブルドーザーです。

2008/03/02

慶応大学卒業、ハーバードビジネススクールでのＭＢＡ取得、モルガンスタンレーの日本トップ就任、と華麗な経歴を持ちながら、宮仕えの不条理を味わいつくした挙句に
「カネのために魂まで売り渡してはいけない」
と、何をやるかも決めずに会社を興して社長になってしまった著者の、行き当たりばったり的半生記。ビジネス書や自己啓発本というよりは、一人の女性のハチャメチャ一代記的な面白さがあります。

相当に頭のきれる人なのだろうに、サザエさんも真っ青の泥臭い失敗を次から次へと繰り返し、それでも持ち前のキャリアと人脈と運と根性で立ち直り、次々に業務の幅を広げるドタバタ路線が痛快。歯に衣着せぬ物言いで、誰もが暗黙のうちに「耐えなきゃ」「しゃあない」と決め込んでいるいくつもの「？」を、バッサバッサと斬っていきます。

日本とアメリカの大学と会社のそれぞれを経験した著者の視点は、日米ビジネス社会比較文化論としても秀逸。さらに、著者を取り巻く環境はどこを見渡しても「エリート」一色でありながら、まぎれもなく「庶民・凡人」の感性で紡がれる著者の体験談は、ブランドに目が眩んでどこか物の捉え方が歪んだエリートたちの滑稽な姿を残酷なまでに抉り出します。

もちろん、著者がここまでテキトーな路線で起業してもそれでも会社が成功したのは、著者自身の高学歴・高職歴に加えてハイレベル・ハイスキル・ハイソサエティな人々との広く深い人脈、それに著者の会社員時代の（超）高所得による貯金があってこそ。そのへんの安月給サラリーマンがおいそれと真似すれば痛い目を見るのは必至ですが、本来ならできる可能性のあることにまで目を瞑っている諦めムード満点な人にとっては適度なショック療法となりうることもあるかも。

単純に読み物としても楽しいので、おすすめ。