この映画見た？

川本三郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 新書館/
• 発売年月日: 2000/09/20
• JAN: 9784403210723

商品レビュー

2018/12/28

P116
（『シンプルメン』評）
ハル・ハートリーは、
少し変な人間たちを
ユーモラスに、愛情を持って
描いている。
彼らはインサイダーでもないし、
といって極端なアウトサイダーでもない。
アナーキストの父親も
表情はどこか世捨人だ。
社会と闘っているというより
逃げている

P116
彼らはみんな、それぞれ自分の世界に
こもっていて、他者とうまくコミュニケーション
出来ないでいる。
言葉を喋るのだが、
それが相手に届かない。
みんなばらばらに生きている。
それでいて、ひとりになることも
出来ずに、なんとなく一緒にいる。
その中途半端ぶりが
面白く、
現代人の自画像を見ている
ように思えてくる
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P138
（『乙女の祈り』の）
二人の少女はいわば
”お城にとじこめられたお姫様”だ。
だから空想の世界へ、夢の世界へと
駆り立てられていく。
そのなかでだけ自由になれる。
現代のギャルと呼ばれる女の子たちが、
あまりに早くから社会化されてしまう結果、
空想力を失っているのと対照的だ
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2013/08/16

「プラトーン」の主人公が父母ではなく、故郷の祖母に手紙を書いていることが齎している効果！現実臭が消え遠くにある、天上的なものが接近する仕掛けだという、確かにそのようなことはありうるのでしょう。プラトーンは録画しながら、まだ見ていませんでした。「ラストエンペラー」が実はベルトリッチ監督が中国の協力を得て撮影し、溥儀が最後につかんだ人生の幸福というテーマになっている！これも確かにそうでしたが、果たして真実は、との問いかけがラストシーンにある！？またマリック監督「シン・レッド・ライン」の静かな世界の描写は私自身が見て感じたところです。戦っている兵士の内面の静かさが美しい鎮魂曲などの音楽、ガダルカナルの自然と相俟って天上の神を思い出させます。そして出会った人の醜い姿！もう一度ぜひ見る価値がありそうです。
このほか「ヘンリー＆ジューン」「殺意のサン・マルコ駅」「赤い航路」「さらばわが愛　覇王別姫」「奇跡の海」「ふたりのベロニカ」「八月のｸﾘｽﾏｽ」などはぜひ鑑賞したいと思わせる文章です。特に「ベロニカ」は著者の力の入れ方が凄いです。ポーランドとフランスの２人のベロニカが全く関係を持たず、２つの人生を歩んでいる、2人は出会ったこともない。しかし、悲しみを共有し、同じように涙を流している！もう一人の自分に出会ってみたいと言うロマンを感じさせる作品であり、絶対に一度見てみたいと思います。