風塵抄(2) 中公文庫

司馬遼太郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社/
• 発売年月日: 2000/01/25
• JAN: 9784122035706

商品レビュー

2024/03/24

▼司馬遼太郎さんが産経新聞に逝去直前まで掲載していた、まあ、言ってみれば時事エッセイ。その二巻で、これがおしまいになります。

▼司馬さんの亡くなる直前って、「阪神淡路大震災」と「オウム事件」だったんですね。それらへの意見が多い。

▼あと、時事とはあまり近くない、随筆的なものも多いです。印象に残ったのは、「兵隊同窓会」の話です。司馬さんは戦車部隊の即席下士官として満州をさまよった挙句に本土で終戦を迎えたんですが、その部隊の「同窓会」が長年行われていて、それにはほぼ欠かさず出ていた、という。

▼司馬さんと言えばとにかく昭和の陸軍が、平たく言えば大嫌い。なんですが、それはそれ、これはこれ、死線を共にした仲間たちとの人間的な縁は、慈しんでおられたようです。後世の物知らずからすると、一瞬矛盾のように見えて、じわじわと人間臭い体温が感じられる話だなあ、と思いました。

2016/05/27

　日本の恥の文化とはどういうものなのか、三菱財閥の創業者、岩崎弥太郎の借金証文には「いついつに返済すると書き、もしこのことに違えれば、お笑いください、とあるのみ」貸したのは旧大名家なのだが、もし、高額な借金ならば両者の気迫が伝わる。岩崎弥太郎、笑われたら腹も切りかねないよね

2015/07/13

司馬氏最後のエッセイ。絶筆までの流れを読んでみて、急にぽっくり逝ってしまったんだということがわかった。
街道をゆくの最終回で、北関東を考えていた、事実には考えさせられる。
その場所をずっと思っていても、行かないとはとても粋なことなのかもしれない。自分にはそういう場があるのだろうか。
そして、本棚に眠っているオウム本へと続く私であった笑