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フェミニズム 思考のフロンティア
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
発売年月日 | 2000/10/20 |
JAN | 9784000264327 |
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商品レビュー
4
9件のお客様レビュー
これも再読。最近再読にハマっている。再読というのは、昔は理解できなかったことを理解できるようになっていることに気づき、また昔はあったものを失っていることに気づく行為である。昔の自分と今の自分の何が変わって何が変わらないのかを定点観測できる、とっても素敵な装置だ。 で、コレである。...
これも再読。最近再読にハマっている。再読というのは、昔は理解できなかったことを理解できるようになっていることに気づき、また昔はあったものを失っていることに気づく行為である。昔の自分と今の自分の何が変わって何が変わらないのかを定点観測できる、とっても素敵な装置だ。 で、コレである。わたしは今、巡り巡ってまわりまわって、結局フェミニズム的なところに戻ってきてしまっている。正直、日本の著者のフェミニズム関連書籍でコレはと思うものにはあまり巡り会えたことはないし、主張も正直いっていまひとつ心酔できる人はいないのだが、竹村和子の理知的な語りは非常に納得するところが多い。独創性はないかもしれないが、深い射程でフェミニズムという批評枠を捉えていることがしんしんと伝わってくる。 内容は大まかに、今までのフェミニズムの思想と運動を概観しつつ、今(といっても20年くらい前だが)挙がっている大きな思想的課題をポンポンと俎上にあげたもの。歴史の概観はご専門のアメリカに偏っているようだが、かなりうねりがわかりやすい。また、思想面も①身体②慣習③グローバル化と色んな側面からの議論が紹介されていて広がりがある。文献も豊富に引用されるし、まあまず教科書というか入門というか基本書と捉えて間違いないだろうと思います。これからも参照させてもらうと思う。なによりフェミニズムという批評枠がいかに困難であるか(達成しようとすればするほど自家中毒に陥る構造)、それでもなおその存在意義をあらゆる話題でどう捉えるかを考え続ける姿勢が非常に抑制されつつ真摯な議論としてあるのが素晴らしいです。やはりこのくらいのものは基本線として読みたいと思うんだけど。 とりあえず、次はブルデューである(これずっと言ってる)。ブルデューは本当に訳がなあ…もう少しどうにかなってくれるといいんだけど。まあならないか。
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フェミニズムは、アクチュアルな運動であると同時に極めてセオリティカルな論題でもある。女性の正当な権利の主張という素朴な運動から始まったフェミニズムも、その進展にしたがって広い射程の獲得と深い理論化がなされてきた。その発展の歴史は決して直線的ではなく、フェミニズムの内部においても対...
フェミニズムは、アクチュアルな運動であると同時に極めてセオリティカルな論題でもある。女性の正当な権利の主張という素朴な運動から始まったフェミニズムも、その進展にしたがって広い射程の獲得と深い理論化がなされてきた。その発展の歴史は決して直線的ではなく、フェミニズムの内部においても対立や分裂を含みながら、複雑に錯綜して今に至っている。さらに、ジェンダーやセクシュアリティ、クイア理論などの周辺領域との関連性もその複雑さに拍車をかけている。 女の抑圧を、マルクス主義的に資本制に見出すのか、あるいは家父長制にその責を追わせるか、それらすべてが絡むのか、それとも別の原因があるのか。そもそも、”女性の抑圧”という思考そのもの、あるいは生殖以外の局面において男性性と女性性の弁別することは、男と女という弁別とその階層性という差別的構造の再生産になってしまわないのか。さらには、社会制度によって構成された性(ジェンダー)以前に存在する生物学的な性(セックス)とその差異という概念は本当に適切なのか、ただの幻想ではないのか。こうした論点に答えることは、そうたやすいことではないし、フェミニズムの中においても見解は分かれる。 しかし、フェミニズムがすでに素朴な運動ではない以上、こうした理論と論点の存在を知らずに済ますことはできない。そうでなければ、女性の権利を確保し女性の社会進出を後押しするため良かれと思って行った活動が、結果的に性的差別の拡大再生産に加担しているだけであった、ということになりかねない。 だからこそ、こういう著作が意味を持つ。フェミニズムの歴史と現代の論点を130ページという短いなかで解説する入門書の体裁をとってはいるが、そう簡単な内容ではない。ただ歴史と論点を披瀝しただけではなく、そこに横たわる理論的な背景をしっかり盛り込んでいるため、ちょっと興味があるくらいではたぶん全く歯がたたない。資本主義やマルクス主義の政治・経済体制、構造主義やポストモダンなどの現代思想の基本的なところは前提知識として要求される。それは決して過大な要求などではなく、フェミニズム的なことがらに関与しようと思えばそれくらいは当然に知っていなければいけないというだけの話だ。それを入門書でしっかりやってのけるあたり、フェミニズムを理論的に牽引してきた著者の面目躍如かもしれない。刊行から10年以上が経ってはいるが、まだまだ本書の意義は色あせてはいない。
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日本のフェミニストでいちばんすき。クィア・ポリティクスにもつながる。竹村せんせの考察をもってもなお、「フェミニズム」、つまりfemaleという言葉を含むものに対する違和感は拭いきれないのだけど。
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