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絵画における真理(下) 叢書・ウニベルシタス591
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絵画における真理(下) 叢書・ウニベルシタス591

ジャック・デリダ(著者), 阿部宏慈(訳者)

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絵画における真理(下) 叢書・ウニベルシタス591

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 法政大学出版局
発売年月日 1998/07/30
JAN 9784588005916

絵画における真理(下)

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2010/06/17

下巻は2つの文章からなる。そのタイトルは,「カルトゥーシュ」および「返却〔もろもろの復元〕,ポワンチュールにおける真理の」というもので,相変わらず目次だけ見ても何が書いているかすら分からない。それでも読んでしまうところがデリダというブランド。前半の「カルトゥーシュ」はポンピドゥー...

下巻は2つの文章からなる。そのタイトルは,「カルトゥーシュ」および「返却〔もろもろの復元〕,ポワンチュールにおける真理の」というもので,相変わらず目次だけ見ても何が書いているかすら分からない。それでも読んでしまうところがデリダというブランド。前半の「カルトゥーシュ」はポンピドゥー・センターで1978年に開催されたジェラール・ティテュス=カルメルの展覧会「ポケットサイズのトリンギット族の棺桶とそれに続く61の最初のデッサン」の際に書かれたもの。もちろん,デリダの文章にこの作品の詳細が分かるような説明はないのだが,そこに掲載された作品の写真から,棺桶のミニチュアが実際に作られているということ,そして127に及ぶ棺桶のデッサンも作品に含まれていることが分かる。作品のデッサンは12しか掲載されていないが,さまざまな画材で,さまざまなタッチで描かれており,それらには全て日付がつけられている。それらは全て1975年のものだが,それと呼応するように,デリダの断章には1977年11月30日から1978年1月12日までの日付がつけられている。その日付の意味するところは分からない。そして,その文章の内容は極めて作品と関連するものでありながら,それは深すぎて,ある意味では作品から高く逸脱している。まあ,それがデリダらしいのだが。ただし,このカルメルの作品の抽象度と具体性とのバランス具合がデリダの文章と対応しているので,デリダの文章がほとんど理解できないにしても,その読書体験はある意味でとても楽しいものではある。 続く文章は,有名なゴッホによる農夫の靴の連作である。しかし,デリダが直接ゴッホの作品について論じるのではなく,その作品について言及しているハイデガーの『芸術作品の根源』と,ハイデガーに対して批判をしたシャピロという人物の文章とを巡っている。端的にいうと,ゴッホの絵は「古い編み上げ靴」や「短靴」とタイトルがつけられているのだけなのだが,ハイデガーがそれを農夫の靴だと断定し,そこに素朴な農村性を読み取っているのに対し,シャピロはそれは決して農夫の靴ではなく,都会人であったゴッホ自身の靴であるというのだ。それらに対するデリダの意見はこれまた複雑すぎて意味不明なのだが,ある意味ではそんなことはどうでもいいし,ある意味ではそれは単なる所有の問題を超えて根本的な哲学的問題へと飛躍する。そもそも,そこで描かれている2つの物体は本当に対として一人の人間が履く一足の靴なのだろうか,という根本的な問いを立ててみたり。個人的にはデリダがそれについて明白な解説を加えているのではないのだが,マグリットがゴッホの靴の絵をパロディー化した作品など,さまざまな他の絵画作品が掲載されていて面白い。そういえば,「カルトゥーシュ」の最後にも,カルメルによる他の作品が掲載されていた。 ともかく,毎回デリダの翻訳書を読むと,本当に訳者の労力には感服する。

Posted by ブクログ

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