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ウクライナ・ナショナリズム 独立のディレンマ
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ウクライナ・ナショナリズム 独立のディレンマ

中井和夫(著者)

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ウクライナ・ナショナリズム 独立のディレンマ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京大学出版会
発売年月日 1998/11/16
JAN 9784130360937

ウクライナ・ナショナリズム

¥3,135

商品レビュー

3.7

3件のお客様レビュー

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2022/09/30

ソ連の崩壊からロシアになってウクライナが独立する状態の説明である。いくつかの論文をまとめてさらに書き下ろしもある。少し専門的なので、ウクライナの状況についての卒論を書くならば参考にはなるであろう。

Posted by ブクログ

2021/01/21

ウクライナの歴史からウクライナ・ナショナリズムの経緯を記述した本。文化運動、文学、ユニエイト、伝統を基にウクライナの民族運動は断続的に展開していたことがわかった。一言でウクライナ・ナショナリズムと言っても地域毎に多様な民族とアイデンティティがあり、政治様相も全く異なることも知った...

ウクライナの歴史からウクライナ・ナショナリズムの経緯を記述した本。文化運動、文学、ユニエイト、伝統を基にウクライナの民族運動は断続的に展開していたことがわかった。一言でウクライナ・ナショナリズムと言っても地域毎に多様な民族とアイデンティティがあり、政治様相も全く異なることも知った。本書が出版されたのが1998年と少し古いため、現在のより高揚したウクライナ・ナショナリズムに関してはもちろん記載はない。しかし、現在のウクライナ情勢をより正確に知るために、本書は活用できると感じた。

Posted by ブクログ

2012/11/02

 日本で唯一のウクライナ現代政治史の入門書であり、旧ソ連地域の民族問題へのウクライナ研究からの問題提起を含んだ書籍。  本書の良いところは、1)ウクライナの現代史について概説されており、本書を読む事でソ連時代から独立後(1995年くらいまで)のウクライナ政治や民族問題について平...

 日本で唯一のウクライナ現代政治史の入門書であり、旧ソ連地域の民族問題へのウクライナ研究からの問題提起を含んだ書籍。  本書の良いところは、1)ウクライナの現代史について概説されており、本書を読む事でソ連時代から独立後(1995年くらいまで)のウクライナ政治や民族問題について平易に学ぶ事ができる、2)旧ソ連における民族問題をウクライナというロシアの兄弟民族の視点からいくつかのキーポイントに着目しつつ学ぶ事ができる、3)賛否両論あるかと思うが、民族問題やナショナリズムの問題に対して旧ソ連・ウクライナ研究からの問題提起がなされている事の以上3点である。  内容的には、ちょっと「さっくり」感が強く、個別箇所への不満、あるいは記述や説明の拡充を求めたくなる部分が多いが、「あとがき」を見てみると、10年前(1988年)から構想があり、ソ連解体とウクライナの独立によってこれらの研究を公刊するに当たって、かなり大幅な修正、再考、再研究を求められたという背景事情があるので、そうした不満は贅沢かもしれない。  もう一つの不満は、独立以後のウクライナの状況について、国際環境や外交、ロシアとの関係はちょっと情勢分析の色彩が強く、結局、何がいえるのかというところが不鮮明な点である。勿論、独立後10年にも満たない時点(執筆時を考えれば、独立後5年にも満たない時期)に、その独立国を取巻く国際環境や同国の外交をモデル化するのは、極めて困難であり、こうした無謀な行為をしない方が良いのは事実かもしれない。部分的にそうした試みをして、「新東欧」という概念を提示しているものの、今となればこうした概念自体の有用性はないので、期間限定の考察にならざるを得ないモデル化に取組む事の意義は低いかもしれない。  他方で、内政面の分析で光るのは、東部と西部のアイデンティティや政治行動の違いを各方面から明らかにしている事であり、これは(歴史的背景があったので、独立以後に新しく政策マターとなった外交と違いモデル化しやすかったという事もあるかもしれないが)、以後、ウクライナ研究において広く後進が用いる重要な指摘である。著者の「ウクライナの大統領は、東部で誕生し、西部で死ぬ(辞任する)」という見方は、もはや有用ではないという指摘もあるが、この言葉自体が重要なのではなく、本書は以下のような事を明らかにしている点に最も大きな意義があるのである。  それは、ウクライナでは大統領に当選する為(一定の支持基盤を強固なものにする為)には争点化しやすい言語問題や東部と西部で認識が異なっている問題を取り上げる必要があり、結果としてこの事は東西のいずれであれ、選出された大統領が一方に依存する状況を生み出すという事である。大統領は、実際の政策に取組んで行くと、種々の課題からより中立的な政策に取組まざるを得ないが、この事がもともとの支持基盤から支持を失う事を意味する、こうして政策運用過程で一方の支持基盤を失う事となると、それが東部であれば西部であれ、自身がもともと支持基盤を持っていた地域からの支持はどうにか維持しようと極端な政策を採用するか、あるいは逆に自身が弱かった地域からの支持は確たるものにしようとせざる得ないのである。  このような見方にたてば、歴代の大統領の行動は理解できる。 1.クラフチョーク  共産党出身(親ロシア的東部に基盤)→ウクライナ・ナショナリストへ(西部に基盤) 2.クチマ  クラフチョーク批判(東部に基盤)→バランス外交などで脱ロシア化(西部に基盤)→98年の大統領選挙勝利  →汚職や権威主義で親ロシアに基軸を移そうとする(西部から東部に基盤移動の試み) 3.ユーシェンコ  クチマの後継ヤヌコーヴィッチ(東部基盤)と対立(西部基盤)→より一層、脱ロシア化・新欧米政策を推進(西部の限られた基盤に依存) 4.ヤヌコーヴィッチ  ユーシェンコ(西部の一部に基盤)とティモシェンコ(西部基盤)と大統領選挙を争う(東部基盤)→大統領に選出されて以降は中道的政策(東西どちらへ?)  このように選挙における東部西部対立だけではなく、むしろ政権運営上の問題をもウクライナ社会の分裂的傾向から理解出来るのが本書の意義だろう。  他にも各種の個別的不満、特に民族問題を巡る対処法やその認識をめぐる問題はあるが、それは本書の目的(=ウクライナ・ナショナリズムの分析)からすれば二次的なので、触れまい。ただ、著者がもし健康で、その後も第一線で研究をし続けていれば、どういった回答を提示したのだろうかと若干、惜しむ気持ちはある。

Posted by ブクログ

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