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玄奘三蔵 西域・インド紀行 講談社学術文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 1998/06/10 |
JAN | 9784061593343 |
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玄奘三蔵
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「一般に、玄奘法師の西域旅行に関する書としては、『大唐西域記』がつとに有名であるが、この書は、法師が帰国後、太宗の命によって編纂したインド・西域の地理書であり、旅行記そのものではない。法師がどのように西域を旅行し、いかなる順序で西域・天竺を遍歴したかは、法師の伝記『大慈恩寺三蔵法師伝』の前半部分(巻一―巻五)にくわしい。」 講談社、慧立/彦悰、長澤和俊訳『玄奘三蔵』P6 なるほど、そういうことだったのですね! 太宗とは唐の皇帝のことです。つまり『大唐西域記』は唐の皇帝の命令によって作られた「地理書」だったのでした。唐はシルクロードの管理や防衛に神経を尖らせていましたので、西域の地理や情報は喉から手が出るほど欲しかったはずです。こういう事情があったからこそ、玄奘の個人的な感想やエピソードは省かれ、淡々とした情報がこの書に書かれることになったようです。 そして上の引用にありますように、もし玄奘の旅のエピソードを知りたければ『大唐西域記』ではなく『大慈恩寺三蔵法師伝』の1~5巻にそれらが記されているとのこと。 講談社の『玄奘三蔵』はまさにこの『大慈恩寺三蔵法師伝』の1~5巻を和訳したものになります。 私も『大唐西域記』を読んだ後すぐにこちらを読んだのですが、やはり旅のエピソードや心情も知れて圧倒的に面白かったです。
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西遊記で有名な玄奘三蔵法師は、7世紀の中国、時代で言えば隋末から唐代の実在の人物です。仏教の教義の核心に迫りたい、との強い思いから、国禁を犯して西域に一人で赴くこととなった玄奘の足取りを記したのが、本書の原典である「大唐大慈恩寺三蔵法師伝」ですが、悪路、妨害、族の襲来から通過する...
西遊記で有名な玄奘三蔵法師は、7世紀の中国、時代で言えば隋末から唐代の実在の人物です。仏教の教義の核心に迫りたい、との強い思いから、国禁を犯して西域に一人で赴くこととなった玄奘の足取りを記したのが、本書の原典である「大唐大慈恩寺三蔵法師伝」ですが、悪路、妨害、族の襲来から通過する国々の国王による引き止めまだ、艱難辛苦を強い信念で乗り越えていく玄奘の精神の強さに感銘を受けました。 玄奘の伝記を読もうと思ったきっかけは、先日訪れた奈良の薬師寺の玄奘三蔵院伽藍に掲げられた”不東”の文字でした。これが、玄奘が道中渇死の危機に見舞われるも、「もし天竺に至らざれば、終に一歩も東帰せず」と決意しインドを目指して歩み続けたことに由来することを知り、実在の玄奘の人となりに関する本を求めたからでした。中国からタクラマカン砂漠を越え、サマルカンドから現在のアフガニスタン、パキスタンを超えてインドに至る道を踏破したその原動力であった玄奘の探求心の強烈さがいかほどのものであったか。不東の2文字に体現されているように思えます。 18年の西域の旅を終えて唐に戻った玄奘は、皇帝の庇護を得て持ち帰った大量の仏典の翻訳を高僧たちを組織して行い、残りの半生をそれに全て費やすこととなります。この間の玄奘の胸に去来したのは命を賭した天竺往還の成功に対する達成感などではなく、持ち帰った経典を正確に翻訳することに対する強い思いであったようです。
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この本はあの偉大な玄奘三蔵の伝記「大慈恩寺三蔵法師伝」の前半(入竺紀行の部分)の現代語訳だそうで、法師が西域・天竺をどのように旅したか、克明に書かれている。また帰り道と帰ってきてからのことは解題に簡潔に記されている。 玄奘というと「西遊記」に出てくる三蔵法師として知ってはいる...
この本はあの偉大な玄奘三蔵の伝記「大慈恩寺三蔵法師伝」の前半(入竺紀行の部分)の現代語訳だそうで、法師が西域・天竺をどのように旅したか、克明に書かれている。また帰り道と帰ってきてからのことは解題に簡潔に記されている。 玄奘というと「西遊記」に出てくる三蔵法師として知ってはいるが、具体的にどんな事をしたのかはあまりよく知らない。そこでこの本により、玄奘が仏教の真髄を求めて、仏教発祥の地であるインドへ旅し、大変な苦労をしながらも中国へ帰り着き、中国の仏教の発展に貢献したということを知った。 本文は仏教用語の多さと、法師が辿った国々の国名の羅列が多く、大変読みにくかった。しかし途中、山賊に襲われたり、訪問国の国王に大歓迎されるなどのエピソードが、法師の人柄を彷彿とさせ、とても面白く読めた。 なお、訳注、解題、索引、そして史跡の写真までもが充実しており、精読の大きな手助けとなった。それに比して地図の貧弱さは否めず、法師の行程を辿るのには大変不満が残った。 余談ではあるが、1984年、中国共産党胡耀邦総書記の招きで、日本の青年3000人が中国を訪問した際、私もその中の一員として、北京、西安、上海を訪ねることができた。あの忘れもしない天安門事件の5年前、現在のような経済発展期に入る前である。西安では慈恩寺の大雁塔を訪れることができ、一番下にある唐代の名筆家で知られる褚遂良の筆になる「雁塔聖教序」を金網越しに見ることができた。これが玄奘が天竺から持ち帰ったものを書き残したものだと思うと感動で鳥肌が立ったのを覚えている。
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