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絵巻を読み解く 美術館へ行こう
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 1998/11/10 |
JAN | 9784106018671 |
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絵巻を読み解く
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<摩訶不思議な巻物の世界> 先日来、『鳥獣人物戯画』を見たり、その関連で『華厳宗祖師絵伝(華厳縁起)』を読んだりしていたら、何だか絵巻物っておもしろそう、と思えてきました。 はてさて、絵巻っていったいどのくらい、どんなものが残っているのでしょうか・・・? 入門書にちょうどよさそ...
<摩訶不思議な巻物の世界> 先日来、『鳥獣人物戯画』を見たり、その関連で『華厳宗祖師絵伝(華厳縁起)』を読んだりしていたら、何だか絵巻物っておもしろそう、と思えてきました。 はてさて、絵巻っていったいどのくらい、どんなものが残っているのでしょうか・・・? 入門書にちょうどよさそうなこちらを借りてみました。 「美術館へ行こう」と題されたシリーズのうちの1冊です。有名どころの絵巻物を取り上げており、どの美術館や寺社で見られるのかもわかります。 本書で紹介されているのは32の絵巻。代表的な場面を図版で紹介し、あらすじ等の解説が付きます。 躍動感あふれる人物描写が楽しい「信貴山縁起」や、現実の事件を題材にし、写実性が高い「伴大納言絵巻」、末法思想を背景とした「地獄草紙」や「飢餓草紙」、ダイナミックな構図で雷神の怖ろしさを描く「北野天神縁起」、それにもちろん「源氏物語絵巻」。 事件や戦の顛末を綴るもの、寺社の起こりを表すもの、風俗や習慣を記録したもの、物語、装飾性の高いもの、痛烈な諷刺を込めたもの。 絵巻を大まかに分類すると、物語文学と説話文学に分けられます。前者は主にフィクションで宮廷の女房たちの製作になるもの、後者は歴史的な事件や人物・巷間に伝わった話を採集したものとなります。ここから派生して「紫式部日記」や「御伽草紙」を絵巻にしたものは前者に含められ、一方、高僧の伝記や軍記物は後者から発展したと考えられます。 一口に「絵巻」と言ってもさまざまなジャンルのものがあることがわかります。 印象に残ったものをいくつか上げてみます。 「白描絵料紙金光明経」。多くの絵巻物制作を手がけた後白河法皇は、晩年もある物語絵を制作中でした。しかし途中で崩御してしまいます。残された人々は、下絵ができていた絵巻を中断し、供養として、その紙に経典を書写することにします。雅な線描の上に麗しく書かれた装飾経。物語の内容が不明なこともあって独特の美しさを醸しています。 「男衾三郎絵巻」。季節の推移と物語の推移が巧みに融合された物語。後半部分は逸失しているのですが、武芸に励む男衾(おぶすま)三郎と優雅な生活を送る兄・吉見二郎の家族の一大因縁話のようです。兄家族の優雅な暮らしを描く場面は春の美しい景観。弟一族が武芸に励む場面は初夏の景物とともに描かれ、兄一家を不幸が襲う場面では秋の草花や落ち葉が描かれるといった具合です。 「天狗草紙」。各宗の僧侶の慢心を天狗にたとえて諷刺するという辛口のもの。僧兵が暴れていた頃のもののようで、その驕慢ぶりを苦々しく思っていた人は多かったのだろうと思えます。延暦寺と園城寺の争いなどが厳しい批判の目で描かれています。 土佐光信による「清水寺縁起」、狩野派による「酒呑童子絵巻」は、絵師の面目躍如というところでしょう。優雅であったりダイナミックであったり、絵巻ならではの大画面の「絵」を楽しむものといえそうです。 いろいろ見ていくと、例えば物語絵の場合でも、さほど文学性のみが重視されるのではなく、昼メロ的というか、下世話な話なども好まれたのかも知れないと思えてきます。 同じ人物を幾度も描く、横に長い絵巻ならではの時間表現や、建物を上から見たり、横から見たりといった、空間の捉え方も興味深いです。 各絵巻の紹介の後には、絵巻の概論をQ&A形式でまとめています。これもなかなかおもしろくて、絵巻の幅の違い、建物や風景の描き方、絵巻の製作方法などがわかり、ちょっとしたにわか絵巻博士になれそうです。 巻末には絵巻が見られる美術館ガイド付き。若干古い本なので、実際に見に行く前に確認はした方がよいかもしれませんが、大きな変更はないのではないかと思います。 この絵巻という形式が多く制作されたのが平安から鎌倉時代に掛けてです。もしもこの形が今でも主流であったとしたら、本屋さんには巻物が積み上げられていたのでしょうかね・・・? 自分の欲しい絵巻を探すのも大変そうですし、立ち読みも難しそう・・・。 でも、お休み前に、寝そべって少しずつ美しい絵を広げてみる読書タイムも、贅沢な感じで楽しそうですね。
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