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太宰治 岩波新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
発売年月日 | 2004/05/22 |
JAN | 9784004305606 |
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商品レビュー
3.3
7件のお客様レビュー
『#太宰治』 ほぼ日書評 Day756 評者高校時代の恩師(現国担当)の著書。ちょうど25年前の刊行で、先生(とあえて呼ばせていただくが)とは15歳違いなので、今の自分より10歳若い時に書かれたということになる。正直、先生が高校当時にこんな授業をしてくれていたら、もう少し現国...
『#太宰治』 ほぼ日書評 Day756 評者高校時代の恩師(現国担当)の著書。ちょうど25年前の刊行で、先生(とあえて呼ばせていただくが)とは15歳違いなので、今の自分より10歳若い時に書かれたということになる。正直、先生が高校当時にこんな授業をしてくれていたら、もう少し現国にも身が入ったかもと思うくらい、興味深く読ませていただいた。さて、前置きはそれくらいにして… 評者自身、太宰治は、文庫化された中でもメジャーなものを、中高からせいぜい大学生時代に読んだことがある(当時はハマるまで行かぬものの、それなりに影響は受けたように記憶する)程度だが、まったく予備知識のない短編・掌編についても、ある程度物語のあらすじも把握しつつ、著者の太宰評が理解できるという構成はありがたい(新書の分量に収めるには、かなりの推敲があったものと思料)。 特に興味を惹かれた箇所をいくつか紹介。 奥野健男氏が「潜在的二人称」と称した"太宰の〈語りかけ〉スタイル"は、多くの読者に「たった1人、自分にだけ向けて書かれた作品」と感じさせる効果があり、それ故に熱狂的にハマる読者が生まれる。 同時に、著者はそこにもっと大きな広がりを見る。真に"その人"だけに向けて特化して書かれた、いわばラブレターのようなものではなく、多くの読者に開かれた普遍性が備わっているというのだ。 どちらが正しいという類のものではなく、ピンポイントとゼネラリティの両面を、あたかもメビウスの輪のように自在に行き来できることこそが、むしろ太宰の魅力の源なのだろうと感じせられる。 この〈語りかけ〉は後年に至っては、女口のものに移っていく。『斜陽』の上原の妻は『ヴィヨンの妻』の「私」と一体化し、ひたむきに生きる妻としての「私」の視点から描かれることで、人でなしの無頼漢で「詩人」たる夫は、罰せられるべき存在ではなく、「より大きなおかしみを持った、ある意味、愛すべき存在」に転ずるのだという。 よく知られるように、これらの作品は当時付き合いのあった女性の日記等を下敷きにしているわけだが、日記の行間に込められた、太宰自身に対する女性達の愛憎半ばした悲喜交々の思いを、そのレベルまで昇華させるのは、並の精神力ではできぬこと…であるが故に、ああした、最期を迎えざるをえなかったのだろうか。 https://amzn.to/49cwEFz
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若い頃に太宰を読んだ中高年向けの「再入門」書。「作品と作家は別である」との観点から、従来のイメージとは異なる太宰像が提示されており興味深い内容。 本書が上梓された98年時点で、「最近は太宰ファンが減りつつある」との指摘があるが、25年後の現在ではどうなっているのだろうかという気に...
若い頃に太宰を読んだ中高年向けの「再入門」書。「作品と作家は別である」との観点から、従来のイメージとは異なる太宰像が提示されており興味深い内容。 本書が上梓された98年時点で、「最近は太宰ファンが減りつつある」との指摘があるが、25年後の現在ではどうなっているのだろうかという気にもさせられる。
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6月19日は、太宰治を偲ぶ桜桃忌。 人の欲望、恥、優しさ、弱さ、無様さや照れなど太宰治の生き様そのままを、独特の文体と屈折したユーモアを散りばめ彼独自の小説へと昇華されています。太宰ファンなら、作者名を伏せても文章を読めば、彼だとわかる位、文章に香る太宰臭は鮮明です。 例えば、こ...
6月19日は、太宰治を偲ぶ桜桃忌。 人の欲望、恥、優しさ、弱さ、無様さや照れなど太宰治の生き様そのままを、独特の文体と屈折したユーモアを散りばめ彼独自の小説へと昇華されています。太宰ファンなら、作者名を伏せても文章を読めば、彼だとわかる位、文章に香る太宰臭は鮮明です。 例えば、こんな文章。「旦那さま。ちがふ。恋人。ちがひます。お友達。いやだ。お金。まさか。亡霊。おお、いやだ。」(女生徒) また、妻の津島美知子が「駆け込み訴え」の冒頭を「(太宰が)炬燵に当たって、盃を含みながら全文、蚕が糸を吐くように口述し、淀みもなく、言い直しもしなかった。」というエピソードもすごい。 本書は、そんな魅力的な太宰治の小説をすべて網羅した優れた文芸評論となっています。パロディやネーミングセンスにも秀でている特徴も、彼が時代を先取りした作家だった証かもしれません。
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