ストレートタイム 角川文庫

エドワード・バンカー(著者), 沢川進(訳者)

• 販売会社／発売会社: 角川書店
• 発売年月日: 1998/09/25
• JAN: 9784042784012

商品レビュー

2010/05/28

仮釈放で出所したマッ…

[文庫ＯＦＦ]

仮釈放で出所したマックスはしばらくのあいだは更正を目指してもがくものの、やはり前科者への風当たりは厳しく、ましてや彼のように犯罪が体臭のごとく全身に染み付いている男が溶け込めるほど社会は甘いものではない。意を決して、ではなく自明の理として馴れ親しんだ世界に舞い戻ったマックスは、官憲の目を逃れながら犯罪を重ね、やがて国外逃亡を目論んで乾坤一擲の銀行強盗を企てる。そして…。乾いた後味に身の痺れるようなラストを、ぜひ御覧いただきたい。ハードボイルドでもなくピカレスク（悪漢

2024/03/21

十二歳にしてマリファナ、十六歳にしてヘロイン。泥棒、詐欺、武装強盗、ポン引き…悪の限りを尽くし、少年時代から拘置所と貧民窟を行き来していたマックス。
明日、八年の刑務所暮らしから晴れて仮釈放される。
が、彼の心を支配していたのは、不安と憂鬱だった。
いまさら堅気になろうとは思わなかったが、悪事には二度と手を染めたくなかった。
が、食うためには金が要る。闇の仕事ならいくらでもある。まともな職が欲しかった。
屈辱に耐え、悪の誘惑も断ち、這い上がろうとする前科者に、娑婆は容赦なかった…。
圧倒的なリアル。「レザボア・ドッグス」のエドワード・バンカー入魂のロマン・ノワール幻の傑作。
裏社会を生きるアウトローのリアルな生態(刑務所の中で自分を守る方法、身分証などの入手方法、強盗の準備や下見の方法など)、前科者の更生の困難さ、規則一辺倒の保護観察官のために無実の罪を着せられ再び犯罪の世界に戻っていくマックスの苦悩や犯罪者を再生産する社会の矛盾に対する怒りが緻密な描写で描かれ、壮絶な傑作ロマンノワールに仕上がっています。

2018/12/25

ムショ帰りで更生しようとしているのに世間が許さなくて、また犯罪に手を染めてしまうくだりが切ない。自身刑務所に入っていたというエドワード・バンカー描くだけにリアルです。