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ヒイラギの檻 20世紀を狂奔した国家と市民の墓標
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 三五館/ |
発売年月日 | 1998/07/28 |
JAN | 9784883201518 |
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ヒイラギの檻
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ヒイラギの檻
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高さ3メートルのヒイラギの垣根が檻のように周りを囲んでいた、多磨全生園。そこに12歳で入所した山下道輔を待っていたのは、監獄のように不自由で理不尽な療養所生活だった。そんな中、ハンセン病図書館員としての仕事に生きがいを見いだした山下は、「資料の仕事は遅れてきたわたしの『らい予防法...
高さ3メートルのヒイラギの垣根が檻のように周りを囲んでいた、多磨全生園。そこに12歳で入所した山下道輔を待っていたのは、監獄のように不自由で理不尽な療養所生活だった。そんな中、ハンセン病図書館員としての仕事に生きがいを見いだした山下は、「資料の仕事は遅れてきたわたしの『らい予防法闘争』だ」と語り、40年にわたって全国の療養所などからの資料収集・整理に取り組んだ。その成果は現在のハンセン病資料館に受け継がれ、入所者たちの「生きた証」を後世に伝えるとともに、国の隔離政策の実態を明らかにしている。本書はそんな山下の半生を辿りつつ、国のハンセン病政策を厳しく指弾する一冊だ。
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ハンセン病はその昔、「らい病」と呼ばれて忌み嫌われていた。 それはひとえに罹患者の見た目によるものだろう。 本書は東京都東村山市に作られたハンセン病患者の収容施設 ・国立療養所多摩全生園と、そこでハンセン病の資料の収集・ 整理に半生を費やしている山下道輔の入所から現在までの 軌...
ハンセン病はその昔、「らい病」と呼ばれて忌み嫌われていた。 それはひとえに罹患者の見た目によるものだろう。 本書は東京都東村山市に作られたハンセン病患者の収容施設 ・国立療養所多摩全生園と、そこでハンセン病の資料の収集・ 整理に半生を費やしている山下道輔の入所から現在までの 軌跡を辿りながら、差別と偏見に晒されて来たハンセン病患者 の歴史を描いている。 ハンセン病は伝染性の極めて弱い病気である。太古からあった 病気のようだが、国を挙げての対策が取られるようになったのは 明治に入ってからだ。 文明国家に、ハンセン病患者が物乞いをしていては対外的に みっともない。だったら収容所を作ってしまえっ!と日本各地に 療養所が出来た。 それが大きく変化したのは、戦争へと突き進む時代だ。コレラ と同じくらいの感染力を持ち、毒性も強いとのプロパガンダが 流れ、ハンセン病は隔離されるべき病となってしまう。 しかし、療養所とは名ばかり。そこは罹患者を閉じ込め、世間と 隔絶する強制収容所以外の何物でもなかった。 軽症者が重症者の看護をし、所内の作業までやらされる。そして、 女性患者の元へ「通い婚」をする男性患者に施される断種手術。 ナチス・ドイツはユダヤ人だけではなく、同じアーリア人でも身体に 障害を抱える人や、精神を病む人々を断種しようとした。日本でも これと同じような医療行政があったのだ。 松本清張『砂の器』を読んだ時、まさかここまで…と思ったのだが、 現実は本当に過酷だった。 特効薬がないと言われたハンセン病にも有効な治療薬が発見 された。それでも、ハンセン病患者の人権を奪っていた「らい予防 法」の廃止は1996年まで待たねばならなかった。 3mものヒイラギの垣根に囲まれた全生園は、本書のタイトル通り 「ヒイラギの檻」だった。 現在は敷地を取り囲んでいたヒイラギもなくなり、園内には看護 学校や認可保育園を擁している。だが、一部には今でもこの病気 に対する偏見は残っているようだ。 厚生労働省はハンセン病に対する正しい知識を広く啓蒙する 義務があるんじゃないか。
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