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おぱらばん
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おぱらばん

堀江敏幸(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 青土社/
発売年月日 1998/07/20
JAN 9784791756513

おぱらばん

¥220

商品レビュー

3.9

8件のお客様レビュー

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2022/01/21

随筆のような小説のような不思議な味わい。 フランス暮らしもしくは日本での暮らしの中で想起される作品が挿し込まれて思考が展開していく。 私のような知識がない者には少々難解。 「ボトルシップを燃やす」が一番好き。燃える様が甘美。 「貯水池のステンドグラス」「洋梨を盗んだ少女」「クウ...

随筆のような小説のような不思議な味わい。 フランス暮らしもしくは日本での暮らしの中で想起される作品が挿し込まれて思考が展開していく。 私のような知識がない者には少々難解。 「ボトルシップを燃やす」が一番好き。燃える様が甘美。 「貯水池のステンドグラス」「洋梨を盗んだ少女」「クウェートの夕暮れ」「珈琲と馬鈴薯」も良かった。

Posted by ブクログ

2013/05/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ずっと前に買って「おぱらばん」という単語が出てくるところで挫折していた。今回も読みはじめてやはり、私が今までに読んだいくつかの他の堀江敏幸の作品よりも堅く、冗長気味であると感じ、この調子で「おぱらばん」をどのように生かして行くのか気にしながら、しかしやはり少し退屈だったので二度に分けて、この表題作を読んだのだけれど、「そう、おぱらばんに!」と語り手がこたえた辺りからどんどんアブラが効きはじめて回転数が滅茶苦茶に上がり、勢いが凄まじい。最後の2ページくらいには猛烈すぎて涙が出そうになった。 「おぱらばん」的な出来事、つまり個人的に体験している限りでは胸に残るエピソードなのだけれど、いざ言葉に起こしてみるとなると凡庸になりがちである出来事を、をここまで書ききれるというのは、他のレビューでも言っていることのほとんど繰り返しになるけれども、ウウム!と唸らざるを得ない。

Posted by ブクログ

2013/03/11

エッセイという言葉がモンテーニュの『エセー』から来ているのは誰でも知っている。しかし、この国で専ら気ままに書き散らされた雑文を意味するエッセイと、モンテーニュの「エセー」がまったく別種のものであることは案外知られていないのではないだろうか。「エセー」とは「試み」という意味である。...

エッセイという言葉がモンテーニュの『エセー』から来ているのは誰でも知っている。しかし、この国で専ら気ままに書き散らされた雑文を意味するエッセイと、モンテーニュの「エセー」がまったく別種のものであることは案外知られていないのではないだろうか。「エセー」とは「試み」という意味である。若くして隠遁を決め込んだモンテーニュは、城館に閉じこもり万巻の書物を読むことを日課とした。読書中に気になった言葉があると書き写し、それに自分なりの考えを摺り合わせ、自分の考えの妥当性を試してみた。その結果を書きとめたものが『エセー』である。 読書を好む者が、欄外や行間に注解などを書き込むのは、古くから行われてきた習慣である。しかし、書き込みの方が長くなれば、それはもう立派な本人の作品と言わねばなるまい。「エセー」とは、自分の生理や心理、思考と接点を持つ言葉を手掛かりに、自分独自の考察を試みるものだとするなら、堀江敏幸の作品こそは、「エセー」そのものと言えるだろう。 三島賞を受賞した『おぱらばん』も、短編小説の体裁を整えてはいるが、基本的には「エセー」の趣を強く漂わせている。すべての作品は、(ある時は、タブローであったり、絵葉書であったりもするが)何かの書物や言葉から始まる。そして、その言葉(書物)が、人物を引き寄せる磁場となり、「私」は、言葉(書物)を介して他者と遭遇することになる。モンテーニュの「エセー」が、思考力や判断力を「試みる」場となっているのだとすれば、堀江敏幸のそれは、共同体を離れた一個の他者が、異郷にあって別個の他者と新たな関係性を持つという営みに関する「試み」と言えよう。 モンテーニュが、円形の塔の三階に閉じ籠もったように、堀江は、パリ郊外を自分のテリトリーと定め、中国人や、ユダヤ系ロシア人、リトアニア人といった異郷の人々との触れあいを通して何かを「試み」ようとしている。「私」が他者との間に開く通路はいつも過去に向かって開かれている。それは、死者の記憶であったり、廃屋であったり、忘れ去られた詩人であったりする。一歩誤ればノスタルジーに堕してしまいそうなきわどい地点を堀江敏幸はあえて歩こうとしているかのようだ。彼をそこから救っているのは、美しかった過去を偏愛するのでなく、今、滅びようとするものに向けられた視線の穏やかさにあるのかも知れない。

Posted by ブクログ

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