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父がしたこと
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | くもん出版/ |
発売年月日 | 1997/03/12 |
JAN | 9784774300962 |
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父がしたこと
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商品レビュー
3
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※このレビューにはネタバレを含みます
キリスト教的な思想なのかもしれないけれど、娘を殺した男をゆるそうとする両親の感覚はちょっと理解できない。ムリ。しかもこの男、反省しているかと思えば、さっさと別の女性に手を出してトラブルを起こす。子ども、かわいそすぎる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
罪を犯した父親の息子にインタビューして、物語形式に再話したもの。 これはしんどい。事実がしんどいのは勿論なんだけど、1990年出版当時の社会(もしくは著者)の見方や倫理がしんどい。 この嫌な価値観は、本当のことを取り繕うことなく誠実に書いたゆえに現れる嫌さであろうことがまたしんどい。 アミティ(「ライファーズ」http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4622076985)を読んで安心したい。 心的外傷やマッチョ思想など認識に古さを感じるけれど、加害者との向き合い方は今の日本に比べて先進的。 私は加害者にもまともな人生が必要だと思ってる。 なのに、これを読んだら「一生笑うな恥じろ苦しめ」という気持ちがわき出てしまった。それが怖い。 私は「加害者の人生ための支援が必要」ではなく「反省と更生のためには加害者の人生をまっとうにさせる支援が必要」だと思っているだけだから、こう感じてしまうのかな。 この先ネタバレ。 主人公が11歳のとき、親が離婚の危機に至る。 別居を母は「離婚のためのステップ」ととらえ、父は「条件さえととのえば復縁できる」ととらえる。 復縁がかなわないことを思い知らされて、父は母を撃ち殺す。 大好きな母を大好きな父が殺した。 父を許すこと母はへの裏切りなんだろうかという子供の思いは、多分祖父母(母の両親)ら大人も共有している。 父と母は十代からのつきあいで、母の家族も父を大事にしていた。 だから、「子供の父親でもある父を許さなければいけない」と「こいつは娘(姉)を殺した」の間で引き裂かれる。 でもそれは語られない。みんながそれぞれ個別に耐える。 言語化せず話しあわず表に出さないから、共有されることはない。 だから、子供は「(自分たちが必死で許そうとしているのに)おじさんがパパを許さないならおじさんなんて嫌い」と思う。 おじさんにも「兄とも慕った人が姉を殺した」という苦しみがあることに気づけない。 主人公が11歳のときが1984年。アメリカだからなのか84年だからなのか、子供なのにマッチョ思考。 「悲しむより怒るほうが好き」という感情の抑圧に、この子の未来が不安になる。 出所した父親を子供たちは「守ろうと」する。 夜にうなされても言わない。嫌なことがあってもニコニコする。「パパのパパに」なってあげる。 これ完全に機能不全の症状じゃん。 「ママを愛していた」つもりの父の言い分は完全にDV加害者やストーカー殺人犯の言い分でぞっとした。 「別れるなら死んだほうがまし」「自分が愛し続ければ戻ってきてくれる」「ビキニを着させない、女友達とも合わせない」「銃を見せて死ぬといえば本気だとわかってくれると思った」 でもこれが偽りのない本心だろうから、何が悪いのか本当にわかっていないヤバさが本物っぽい。それが怖い。 著者のあとがきには日本語版が出版された97年時点の「幸せなその後」がよせられている。 訳者あとがきには、「強く優しい」この家族の「愛」への感動が語られている。 でもこれ被虐待児の典型パターンじゃん。手放しで称賛できるものだとは思えない。 この時点、二十歳そこそこならまだなんとかなる。 負担が限界に達してどうにもならなくなるのはそのあとだ。 このあとこの子たちはちゃんと生きていけたんだろうか。 たとえば被虐待児が親をかばうのは親を「愛して」いるからじゃない。 そういうのを理解していると思えないのが怖い。
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