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断片 幼少期の記憶から・1939-1948
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 大月書店 |
発売年月日 | 1997/12/01 |
JAN | 9784272530304 |
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断片
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ホロコーストを体験した著書の、幼少期の記憶を頼りに書いたもの。 ホロコーストは、ユダヤ人殲滅を目的にしたものだったので、大人も子どももない。 よくぞ逃げ延びた。だが、心の痛手は大きいものだったに違いない。 ユダヤ人の子に生まれた著者は、三歳になるかならない身で父と思われる人が...
ホロコーストを体験した著書の、幼少期の記憶を頼りに書いたもの。 ホロコーストは、ユダヤ人殲滅を目的にしたものだったので、大人も子どももない。 よくぞ逃げ延びた。だが、心の痛手は大きいものだったに違いない。 ユダヤ人の子に生まれた著者は、三歳になるかならない身で父と思われる人がラトヴィア兵に大型車両で圧殺されるのを至近距離で目撃した。幸福そのものであった幼児期の記憶は一瞬で終わり、幼いビンヤミンはその後しばらくはポーランドの片田舎に逃れて四人か五人の兄たちといっしょにすごすが、まもなくひとりぼっちになり、転々と各地を逃げまどったあげく、ルブリン近郊のマイダネック絶滅収容所―「この世がこの世であることをやめる場所」―へ送られる。 マイダネック絶滅収容所や、その後「移送」されたクラクフ付近の収容所数々の体験は、およそ人間の世界にあるとも思えない言語に絶する恐怖と苦痛の連続である。 「ぼくらには、死ぬことが計画されていた、生きることではなかった! 計画のとおりに事がすすめば⋯⋯ぼくらは死んでいなければならないはずだった」 完全に逃げ場をふさがれた「死の道」から、髪の毛一本の差で生遭したのはまったく「奇跡」としか言いようがないが、そこにはまた生か死かの極限状況のもとで仲間を「見殺しにした」という罪意識もともなっている。 ポーランドの収容所跡には、何ヵ所か行ったが、心が塞がれる感じを受けた。 そのユダヤ人が、今はパレスチナ人を毎日何十人も殺している。 歴史は学ばないものなのか。
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私は他人に耳を貸そうとしない、あるいはそれができない時代と社会で育ち大きくなった。「子供には記憶などなお、子供はすぐ忘れるものだ、お前は何もかも忘れねばならない、いっさいは悪い夢なのだ」これが絶えず繰り返される言葉だった。その言葉で人々は私の記憶を消し去ろうとし、学校時代から私を...
私は他人に耳を貸そうとしない、あるいはそれができない時代と社会で育ち大きくなった。「子供には記憶などなお、子供はすぐ忘れるものだ、お前は何もかも忘れねばならない、いっさいは悪い夢なのだ」これが絶えず繰り返される言葉だった。その言葉で人々は私の記憶を消し去ろうとし、学校時代から私を黙らせようとした。そこで私は何十年も黙っていた。しかし、私の記憶は消せなかった。ごくまれに私は誰かと、私の記憶の、せめて一片だけでも分かち合おうとおそるおそる試みたことがあったが、いつでもこういう試みは失敗した。すぐに私を黙らせ、打ち明けたことを撤回させた。子供の記憶を不確かなものにし、子供を黙らせるのはなんと簡単なことか。私は私の確信を取り戻したかった。私はもう黙っていたくなかった。そこで書き始めた。
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幼くして両親、兄弟すべてを失ったぼくには、 自分の名前も生年月日もない。 残るのは、フラッシュライトの点滅に 一瞬浮き上がるような記憶の断片だけだ。 それを秩序だてることも、いまとなっては、できない。 3歳か4歳だったぼくの目の前で殺された男性は、 どうやら父さんらしい。 収容...
幼くして両親、兄弟すべてを失ったぼくには、 自分の名前も生年月日もない。 残るのは、フラッシュライトの点滅に 一瞬浮き上がるような記憶の断片だけだ。 それを秩序だてることも、いまとなっては、できない。 3歳か4歳だったぼくの目の前で殺された男性は、 どうやら父さんらしい。 収容所でカチンカチンになったパンのかけらを 手渡してくれた女性が母さんだったのかもしれない。 自分のアイデンティティは何なのか。 収容所での苛烈な日々の記憶だけが、 ぼくの幼少期のすべてだ…。 この世の地獄をピュアな心で見つめ、 詩的に浄化された文章で描いたホロコースト文学の傑作。 1996年度全米最優秀自叙伝賞受賞。 1997年度ブック・オブ・ザ・イヤー賞 (ワシントン・ホロコースト博物館)受賞。
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