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ピエール・パーオロパゾリーニ(著者), 花野秀男(訳者)

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商品詳細

内容紹介 内容:二つの伝記的断章と一つの反歌 A.ベルトルッチ著. 不純行為. 愛しいひと. 編者ノ-ト C.ダ-ンジェリ著
販売会社/発売会社 青土社/
発売年月日 1997/08/30
JAN 9784791755615

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2021/02/08

 ピエル・パオロ・パゾリーニの映画作品は大好きで、その芸術的衝撃性を大いに評価している。特に「王女メディア」などは私がこれまで見た中でのナンバーワンに位置するかもしれない。  しかしパゾリーニは映画監督である以前に詩人・小説家であったらしい。去年みすず書房の『パゾリーニ詩集』を読...

 ピエル・パオロ・パゾリーニの映画作品は大好きで、その芸術的衝撃性を大いに評価している。特に「王女メディア」などは私がこれまで見た中でのナンバーワンに位置するかもしれない。  しかしパゾリーニは映画監督である以前に詩人・小説家であったらしい。去年みすず書房の『パゾリーニ詩集』を読んでみたが、しかしこれは、私には気に入らなかった。一つ一つの詩が長すぎるし、読んでいて楽しくはならなかった。もっとも、海外の詩を翻訳で読むのはそれ自体に無理があって、イタリアの、しかも彼の育った田舎の方言を駆使したパゾリーニの詩をちゃんと十全に味わうのは、イタリア語を知らない日本人には不可能に近いのかもしれない。  さて小説の方は、これまで幾つか和訳が出ているようだが、どれも絶版で、古書でしか入手できないらしい。本書も、中古のを買ったのである。  この本にはパゾリーニの遺稿として遺された2つの未完の小説が収められているが、どちらも、成年男子が15歳くらいの少年に恋をしてちょっかいを出すという物語である。単に同性愛なのではなく未成年者を誘惑して「みだらな行為」に持って行くのだから、これは犯罪である。しかし少年愛といえば、有名どころではトーマス・マンの『ヴェニスに死す』もあるし、もっともっと古い、古代ギリシャのポリスにおいては、どうやら青年から老年に至る男性がごく当たり前に少年愛に耽っていたようなのだ。だからこれは普遍的なものなのかもしれないが、私には理解できない。  本書の2つの作品で、20代くらいの男性が田舎で、少年たちが陽光のもとで戯れているところを、うっとりと眺めている。よりどりみどりな中から、一番お気に入りの子を見つけ出して誘惑し、とりあえずキスしたり、草むらに誘い込んだりする。まるで「花咲く乙女たち」の少年版である。  パゾリーニ自身が少年愛の嗜好を持っていたようで、彼が惨殺されたのも、それに由来するという説もある。  ただし、今まで見てきた中では、パゾリーニの映画作品においては、「少年愛」のテーマは大きく呈示されてはいない。むしろ男女間の猥雑で原始的な性関係が中心にあるように見える。  このような点も含め、パゾリーニの映画と文学作品との関係というのがどうもよく分からないのだが、本書を読んでみて、彼の小説が思いのほか「美しい」ということに気づいた。確かに犯罪的な性愛が描かれてはいるのだが、「少年たち」を「少女たち」に記号交換してみれば、ごく普通の恋愛小説たりうるような、これは「愛の小説」である。しかも文体は非常に詩的だ。この点も映画作品の印象とはかけ離れている。素晴らしく芳醇な、詩的な文体によって、奇形的ではあるが純朴な・シンプルな愛の物語が紡がれていくという点、ウラジミール・ナボコフを想起させた。本書の印象は、まったくもって「ナボコフみたい」だったのである。  ただ、何しろ未完であるので、物語が中途半端なままで放置され、その後主人公に破滅が来るのかどうなのかわからないままであり、そこはすこぶる残念な感じはする。  映画とはひと味違うパゾリーニ、もう少し和訳された小説を古書で探して読んでみようかと思った。

Posted by ブクログ

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